<樋口久子 三菱電機レディス 初日◇30日◇武蔵丘ゴルフコース(埼玉県)◇6585ヤード・パー72>
大会初日のスタート直前。大山志保が左ヒザ痛のため大会を欠場することが決まったが、現地ウェイティング選手(待機)として出場を待っていた新田彩乃がその枠に滑り込んで無事にスタート。ドタバタの初日を首位と3打差の2アンダー・10位タイにまとめた。
報せが届いたのは車の中で待っているときだった。「トップスタート(7時半)の30、40分くらい前から(コースに)いて、でもずっと車の中にいて、そうしたら電話が来てそこからバタバタ」と、急きょ決まったスタートに向けて急ピッチで練習をスタート。「フワフワしていました」という1番ホールのティショットを終えると、ここでバーディを奪ってようやくひと息ついた。
通常、現地でウェイティング可能な選手は3人。今大会でいえば26日(月)の午後12時から午後3時までのあいだに日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)に電話で仮登録を行い、その中から出場優先順位の高い3人が本登録選手となるが、新田はこの3番目だった。現地で待機するかどうか迷った末に、母の後押しもあってウェイティング登録し埼玉入り。その母をキャディに従え、練習ラウンドを経てスタートを迎えることができた。
すでに2人が欠場を表明し早い段階でウェイティング上位2人は出場が決まっていたが、新田にとっては現地で待っても出場できるかどうかは分からない。コロナ禍のなか、現地で待機するにもPCR検査が必要。出場できるかどうか不明の中で宿泊費など経費が無駄になる可能性もあった。
当初は、「3番は無理だよ〜と思っていたのですが、母が『費用をケチるところではない』ということになった」と会場入りして待ったかいはあった。「出場できなくても練習にはなるからいいか」と準備は進めていたが、あきらめかけた時に飛び込んだ出場の連絡だった。
昨年のファイナルQTランキングは56位。ステップ・アップ・ツアーはフル出場権を持つが、レギュラーツアーはここまで3試合のみ。今週はステップの試合もなく待機を決断。幸運にもスタートすることができたが、勝負はまだまだここからだ。
現地でウェイティングするのも難しいこのコロナ禍のなか、母の助言がなければ出場はなかった。それがいきなり上位での滑り出し。ここまで来たら「稼ぎたいです(笑)」。残り2日で少しでも上位に入り、母に感謝の気持ちを伝える。(文・高桑均)
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