<樋口久子 三菱電機レディス 最終日◇1日◇武蔵丘ゴルフコース(埼玉県)◇6585ヤード・パー72>
初日を「76」の75位タイ。原英莉花は予選通過が厳しい状況に追い込まれながらも、2日目に「70」をマークして滑り込むと、最終日は5バーディ・1ボギーの「68」をたたき出し、トータル2アンダーの10位タイに食い込んだ。
清水重憲キャディとのコンビネーションも光った【大会フォト】
気温が下がり始めたこの季節でアイアンの距離感が合っていなかったのが、今回起用した百戦錬磨の清水重憲キャディの助言もあって、見事に復調した。
寒さもあって「アイアンが飛ばなくなっているのを自分ではジャッジできていなくて、今日もアドバイスをいただいて」と、イ・ボミ(韓国)の2年連続賞金女王を支えるなど実績豊富な清水キャディのおかげで距離感が日に日に向上。一番好きなクラブと話すアイアンでチャンスをつくり、大まくりにつなげた。
「日本女子オープン」制覇の翌週は、雨で1日が流れた「スタンレーレディス」で5位タイに入ったが、その翌週の「富士通レディース」では悪天候のなか2日目に「81」の大叩き。今大会では初日に大きく出遅れたものの、尻上がりのカムバックに成功。その裏には考え方の変化もあった。
気持ちの振り幅が大きいという原。「自分のショットの悪さに着目せずに、どうコースをプレーするか、行った場所からどう最善を尽くすか。いつも調子がいいわけではないから、ミスショットしても落ち込まないように」。目の前の状況を受け入れ、いかにスコアメイクするかに徹した。
「ゴルフって不思議なスポーツですよね。耐えているのはつらいけど、終わってみれば楽しいなっていう感覚になる。それを自分が調子いいと錯覚したら“調子に乗ってしまう”。そこを錯覚しないように。深いな〜って思います」。国内メジャーを圧倒的な強さと集中力で制した原だが、まだまだ成長すべき部分を感じることができた大会となった。
来週の「TOTOジャパンクラシック」から今年の最終戦までに目指すのはただひとつ。「もう1勝をつかみたい」。飛距離が魅力と見られがちだが、懸命に自分と向き合いながら戦うニュースタイルの原には、これからも注目だ。(文・高桑均)
<ゴルフ情報ALBA.Net>