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エイミー・オルソン　全米2位で流した涙のワケ

「全米女子オープン」最終日から一夜明けた火曜日の朝、一打及ばず2位で終えたエイミー・オルソン（米国）がインスタグラムに家族写真をアップ。そして今週のツアー最終戦、「CMEグループ・ツアー選手権」（12月17〜20日）からの欠場を決めた。
渋野日向子の2020年ドライバースイング【連続写真】
写真には夫のグラント、その父母と弟が並んで写っている。オルソンは義理の父、リーさんと過ごした想い出を綴り、「一緒に過ごしたハンティング、フィッシングは素晴らしい時間だった。あなたはどれほど心の支えになっていたことだろう」と語った。
渋野が悔し涙をこらえるとなりで、オルソンは涙を流していた。
全米女子オープンの最中、土曜日の夜にリーさんが突然亡くなったというニュースが駆け巡ったのは、雷雨で中止になった日曜の昼のことだった。
夫はオルソンの母校、ノースダコタ州立大のアメリカンフットボールのコーチを務めている。週末はオルソンの応援をするためにヒューストンへと母と弟と飛んできたが、訃報にすぐさまノースダコタへと折り返した。
オルソンは第3ラウンドを終えてトップを行く渋野日向子に1打差の2位。メジャー初制覇という千載一遇の機会に、戦いを続けることを決めた。
極寒の中で始まった最終日は苦しいスタートだった。2番を3パットのボギーにすると3ホール連続で落とした。一瞬、優勝争いから脱落かと思われたが5番パー5でバーディを奪うと6番でも1.2メートルにつけるショットで伸ばし、7番で渋野がボギーにするとついにトップに並んだ。
8番からは9ホール連続でパーを守り、「ずっと目の前のヒナコとの戦いだと思っていた」とオルソンは厳しいコンディションの中で淡々と戦った。
「この状況で誰かが伸ばしてくるとは考えられなかった。だからリーダーボードを見たときは本当に驚いた…」と3組前を行くキム・イェリム（韓国）が難しい上がり3ホールで3連続バーディ、トータル3アンダーで先にホールアウトしていた。
悔やまれるのは178ヤードの16番パー3。クラブ選択を迷ったすえ、5番ハイブリッドを手にした。「すごくいいショットだったのに…、風が吹いたのか、グリーンに止まってくれなかった」とグリーン奧のラフへ。ここから寄せ切れずにボギー。2ホールを残してキムと2打差に後退した。
最終18番パー4、フェアウェイから打った第2打がカップに沈まなかった時点でキムの勝利が確定。最後は5メートルのバーディパットを沈めてガッツポーズで締めくくった。
すぐさまオルソンの目から悔し涙があふれ出た。「勝てるはずの試合だった…」と声をつまらせ、涙を拭った。
2009年に全米ガールズジュニアで勝利。大学時代には20勝を挙げ、13年に期待の新人としてプロ転向した。ところがいまだツアー未勝利。メジャーでも思った成績が挙げられず18年の「エビアン・チャンピオンシップ」で2位に入ったのが最高位だった。
母国のナショナルオープンを勝つチャンスを逃した28歳は「きょうは精神的に強くなければ戦えないと思っていた」。ラウンド中には歌を口ずさみ、心を落ち着かせた。
戦い終えたオルソン。「勝てなかったけれど…。これでようやく義父のことをゆっくり考えられる」と言ってコースを去って行った。（文・武川玲子=米国在住）

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