このところ、米ツアー屈指のスイングコーチの一人、ブッチ・ハーモンの名前がよく話題にあがる。
欧州ツアーの「アブダビHSBC選手権」で3日目を終えてトップに立ったのはローリー・マキロイ(北アイルランド)。一昨年11月の「WGC-HSBCチャンピオンズ」以来の勝利を目指すが、マキロイは昨年10月、ラスベガスで開催された「CJカップ」の合間にハーモンの元を訪れスイングチェックを行ったという。
「約4時間半、スイングのすべてを確認した」と11月、ハーモンが英国のスカイスポーツに明かしている。20年2月には世界ランキング1位の座に返り咲いたマキロイだが、新型コロナウイルス感染拡大でステイホームとなったあいだは、本来のスイングコーチ、マイケル・バンノンとは直接会えず。「テキストやZOOMで調整していた」とマキロイ。「ハーモンはこれまでたくさんの選手のスイングを見てきたから、僕が正しい方向に進んでいるかを確認したかった」と話す。
また年明け早々、ジョーダン・スピース(米国)も同様に「セカンドオピニオン」と求めてハーモンの元を訪れたと伝えられた。
一方、米LPGAツアーの開幕戦、「ダイアモンド・リゾーツ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」でトップに立っているダニエル・カン(米国)は6年ほどハーモンがスイングコーチを務めている。そのカンは、通常は「試合中にはアドバイスを求めない」が、あるとき珍しく「3番ウッドが当たらない」とメッセージを送ったことをラウンド後のインタビューで話した。
ハーモンの対応は、「ウェッジの調子は?」と尋ねカンが「ウェッジの調子はいい」と答えると、「じゃあ、3番ウッドはバッグから抜いてしまえ。何の問題もない」とのアドバイスだった。実際にバッグから抜くことはなかったが、「3番ウッドは一度も使わなかった。ハーモンのアドバイスは正しかった」とカンは笑う。
ハーモンは長年タイガー・ウッズ(米国)のスイングコーチとして知られて、のちにはアダム・スコット(オーストラリア)、そしてリッキー・ファウラー、ダスティン・ジョンソン(ともに米国)、そしてアーニー・エルス(南アフリカ)やフィル・ミケルソン(米国)もドアを叩いたことがある。
77歳の現在もスイングコーチを務めるが、以前のようにツアー会場には足を運ぶことなく、ラスベガスのリオセコGCでスクール・オブ・ゴルフを主宰しているが、まだまだその存在感は大きい。(文・武川玲子=米国在住)
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