<ヤマハレディースオープン葛城 最終日◇4日◇葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡県)◇6564ヤード・パー72>
最終日のスタート前、自身のコーチであり、首位タイに立つ高橋彩華のキャディを務めている奥嶋誠昭氏に宣言した。「負けないように頑張るから」。何が何でも勝つ。その言葉通り、稲見萌寧はトータル12アンダーまで伸ばして見事栄冠を手にした。
前日の「66」の余韻(よいん)そのままといったゴルフだった。前半こそバーディ1つとおとなしいゴルフだったが、「気合いを入れた」とサンデーバックナインでアクセル全開。10番で7メートル沈めたのを皮切りに15番までに4バーディを奪取した。
さらに首位と1打差で迎えた18番パー5。84ヤードの3打目は思ったより転がり奥5メートルに。決して簡単ではないパッティングだったが、これを沈めて大きくガッツポーズ。そして、このタイミングで首位を走っていた山下未夢有がスコアを落としたため逆転で単独首位に。そのまま追いつかれることなく、「明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント」に続く今年2勝目を挙げた。
「プレーオフまで持って行きたいと思っていた」。延長戦に持ち込めば勝てる自信があった。これまでの3勝のうち、2勝はエクストララウンドを制してのもの。「追い込まれた方がいい」と自他ともに認める逆境の強さを生かす展開に持ち込むのが狙いだった。結果的にそうなることなくカップを手にしたが、それは「入れなければ勝てないと思っていた」“追い込まれた”18番のパッティングを決めたからこそ。
だが、強気なばかりでなく冷静さも光った。最後のパットは下りのラインで「ちょっと触るだけ」という繊細なタッチが求められるもの。「今日何度か(同じラインを)打っていたので、いいイメージ出てくれた」。強気に行き過ぎればボギーまである状況でも、落ち着いていた。「自分の心に勝てて良かったと思います」。攻め一辺倒でない、クールな部分も難コース葛城を攻略するためには必須だった。
この日の朝、17歳の梶谷翼がマスターズの舞台オーガスタで行われた「オーガスタナショナル女子アマ」で優勝を飾った。2位の山下も19歳と、21歳の稲見の下の世代もどんどん選手が出てきている。「どんどん若い選手が出てくると思うのですが、それに負けないくらいの圧倒的な力をつけて上位にいたい」と刺激になっている。
「4日間の試合で勝つことが目標だった。達成できてうれしい。次はメジャーで勝ちたい」。日本ツアーで頑張りたいと話すショットメーカーは、次なるターゲットを母国のビッグタイトルに定めた。
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