<マスターズ 3日目◇10日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7475ヤード・パー72>
第3ラウンドを松山英樹とプレーしたザンダー・シャウフェレ(米国)は「土曜日はムービングデー。7アンダーを出すような好調な選手とプレーするほうが『74』の選手と回るよりもずっといい。ヒデキとプレーできてよかった」と自身も「68」と伸ばし、首位の松山と4打差の2位タイに浮上した。
11番のセカンド地点で雷雨による中断。1時間18分後に再開すると松山のプレーが炸裂した。11、12番と連続バーディ。猛烈なリスタートを切る松山を見て「ヒデキのプレーについて行こう」と目標を定めた。
15番パー5。先にセカンドを打った松山がピン2メートル弱に2オンしたのに対し、そのあとにシャウフェレもフェアウェイから打ったが、グリーンを捉えたもののピン右18メートルに乗せただけ。
しかし、「グリーンが遅くなっているのは(これまでの)ヒデキのパットを見ていてよく分かっていた」と、今度は先にこのイーグルパットを沈めて観衆を沸かせた。
この瞬間、シャウフェレはトーナメントリーダーに立った。わずか90秒後には、松山も15番でイーグル。単独首位に立った。
「自分が首位に立ったのは知らなかったけれど、これがこのコースのおもしろさ。僕たちもおもしろいし、見ているファンもきっと大いに楽しんだに違いない」とオーガスタならではの追い上げにエキサイトした。
16、17番は松山が連続バーディを奪ったのに対し、シャウフェレはパーセーブが続いた。16番パー3は3メートルのパーパットを沈めると、18番パー4はグリーン左からチップを約2メートルに寄せてパーセーブした。
「終盤はヒデキほど良いプレーができなかったが、ついて行けて良かった」とシャウフェレ。
「このコースはアイアンの精度が求められるから、ヒデキにはとても合っているコース。それは彼の成績が示している。でも僕のアイアンショットもかなり良くなって来たから、明日の戦いがとても楽しみになった」と興奮する。
「祖父母が日本に暮らしていた」というシャウフェレはカタコトの日本語を話す。ラウンド中には「ヒデキにジョークや、ここでは言えない悪い言葉も投げかけた」と会話も楽しんだというから、松山のリラックスに一役買ったのかも知れない。
最終日は再び松山と同組。そして最終組でスタートする。
「ヒデキも(キャディの)ショウタもグレート! とても面白い組になる」。満面の笑みでメジャー初制覇を目指す。(文・武川玲子=米国在住)
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