<フジサンケイレディス 2日目◇24日◇川奈ホテルゴルフコース 富士コース(静岡県)◇6439ヤード・パー71>
スタートホールの1番ホール。初優勝を目指す田辺ひかりは、隣の18番グリーンを見つめていた。全組1番ホールからのスタートで、師匠の佐伯三貴がちょうどホールアウトする時間だった。そこでバーディを奪い高々と右手を突き上げた佐伯の姿を見せつけられた。
弟子入りして3年目。技術からメンタルまでプロゴルファーとしてのあり方を教わってきた。その師匠が2019年11月以来のツアー出場で、この日2番目のスコアをマークした姿は、田辺にとっても刺激になった。
前半はバーディなしの1ボギー。「なかなか前半入らなかったけど」と、思いとは裏腹にスコアを作れない展開。それでも田辺から笑顔が消えることはなかった。「厳しいパーパットをしのいでいましたし、焦ることなくプレーすることができました」。前夜は「笑顔でいなさい」と佐伯からのメッセージ。その言葉を忘れずに、後半の3バーディにつなげた。
「優勝を狙える位置なので頑張りたい気持ちはあるけど、アンダーパーを目指したい」。気持ちはいつもと変わらず。師匠の教えで気持ちを楽に笑顔で18ホールを走り抜ければ、おのずと結果はついてくる。
大会2度の優勝を誇る佐伯の優勝シーンは「見たことがないけど…、怒られるかな(笑)」。師匠の優勝シーンは見たことなくとも、1戦のみの復帰戦で佐伯がいる川奈。自分の優勝シーンを師匠に見せることはできる。「入ったんだな。すごいな、と。グリーンに上がってくる貫禄とオーラが違いました」と振り返る佐伯の18番バーディ。今度は、自身が勝者として最終グリーンに上がる。(文・高桑均)
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