<中日クラウンズ 初日◇29日◇名古屋ゴルフ倶楽部 和合コース(愛知県)◇6557ヤード・パー70>
悪天候のため競技は中止となったが、練習場には選手の姿がちらほら。8時30分スタート予定だった金谷拓実も6時過ぎに会場入りし、黙々と練習。金谷のスイングを、時たまじっと見ながら隣で球を打ち続けていたのが片山晋呉だ。
もともとのスタート時間は8時10分。同じく6時すぎから練習を行っていた。様々な練習器具や練習法を次々と行い、「20代のときよりも飛んでいる」と切れ味のあるドライバーショットを繰り出す48歳のモチベーションは、どこにあるのだろうか?
「20年間やったことなかったけど、初めて飛ばすことに目を向けようと思った」というのが2019年。飛距離は変らないのに、順位が初めてドライビングディスタンス60位台まで落ちたのだ。「280ヤードはいってたけど、さすがに60位まで落ちたことなかったから、これはちょっとと思った」。
“50歳でレギュラーツアー優勝”を目標のひとつに掲げ、新スイングに挑戦。「2019年はシードはとれないだろうなと思ってやっていた」と覚悟の上での大幅チェンジだったが、同年は賞金ランキング30位で終了。平均飛距離は62位だったが、前年から約10ヤードアップの285.46ヤードまで伸びた。
新スイングもかみ合い始め、「今年はおもしろいかなと思っている」と期待の現れが、今週キャディを務める江連忠氏の姿だ。スイングコーチとして片山を賞金王に導いた存在。取り組んでいることはたびたび江連コーチに報告してきたが、「一応なんとなく整ったから、試合でやる自分を客観的に見てもらいたかった」と、6年ぶりに声をかけた。
「(片山は)脳を退屈させない、だから若い」と、1球打つたびに満足げに笑みを浮かべる江連コーチ。「常に新しいことを取り入れて、脳に一番いい栄養になる知識が行き渡っている。それに、ヒマが嫌いだしね(笑)」というのが、48歳でなお活躍し続ける秘訣のようだ。
一通りショット練習を終えたのが8時30分過ぎ。「まだこんな時間だよ!? 今日もこれからジムに行こうかな」と元気に練習場を去って行った。「上にいく選手は、勉強家かとんでもないバカ」と、色々な練習器具が詰まったバッグを抱えて笑った江連コーチ。バッグの重さは、“まだまだ若手には負けていられない”という決意の表れだ。(文・谷口愛純)
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