<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 初日◇6日◇茨城GC東C(茨城県)◇6630ヤード・パー72>
先週の試合ではプレーオフのすえ、上田桃子との“桃子対決”に敗れて2位となった大里桃子。好調そのままに乗り込んだ今年のメジャー初戦では、6バーディ・1ボギーとスコアを5つ伸ばして、初日2位の好スタートを切った。
先週の負けについては、「悔しいのはもちろんありますけど、1カ月前までは優勝争いできる状況ではなかった。先週あの位置でプレーできたのは自分でもビックリ。悔しいけど自信になった試合でもある」と大里は語る。
優勝争いに顔を出せるまでに調子を上げてきた要因はパッティングにある。「大事なところでシビアなパーパットを決めることができていた。今までならすぐ外すところを、しのいでしのいでできたところが自信になりました」。10番スタートのこの日は、11番でボギーが先行したものの、13番の4メートルを皮切りに、15番では2.5メートル、5番では3メートル、6番では8メートル、8番では4メートル、9番では2メートルとバーディチャンスをことごとく決めてスコアを伸ばした。
大里は2年前に「イップス気味になった」のをきっかけに、基本は右手を上から添える形のクロウグリップでパッティングを行っている。米国男子ツアーでは、古くはクリス・ディマルコ(米国)やセルヒオ・ガルシア(スペイン)、ジャスティン・ローズ(イングランド)なども取り入れたパッティングスタイルだ。
そんな大里のグリーン上を見ていると面白い。クロウグリップで打ったかと思えば、次は通常の順手で打ったり、左手を添える逆クロウグリップで打つこともある。グリップの形が1つではないのだ。
これについて大里は「気分です」と答える。「3パターンあって、自分の気分やラインによって適当に変えてやっています。短い距離はクロウと逆クロウ、ロングパットは順手でやったりクロウで打つこともある。パターイップス気味になったときに始めて、他のパターンも考えないと(手が)動かなくなるので、それを防いでいる」と試行錯誤のなかで、いまのスタイルにたどり着いた。
今年に入ってなかなかパッティングの調子が上がらず、5戦が終わって4戦で予選落ちしていた大里だが、4月の「ヤマハレディースオープン葛城」でパターを思い切って替えていた。それがちょうど1カ月まえのこと。「何をしても上手く打てなかったので、替えてみようかなと。長くしてみたら?と言われて、興味本位でいろいろ試しながら、グリップもシャフトも長くしました」。
大里は長くピンの『B60』(構えたときにヘッドがBの形に見える)を使い続けてきたが、ヘッドをツノ型パター『PING2021タイン4』に替え、シャフトは3インチ長くして36インチに、グリップも中尺系の長めのグリップに一気にチェンジ。「気持ちの面が大きいと思う。一定のことをしていると、慣れてしまって動かなくなることある。スッキリ新しい気持ちで挑めているのがいいのかな」と本人は考えている。
この大里のパターについて、ピンのツアー担当の篠塚翔太氏に話を聞いてみた。「今年の序盤はイップスの悪い症状が出ていたので、ヘッドを動かすよりもクラブ全体を動かすイメージのほうがいいと思って長くしました。長くするとクラブ全体を動かすイメージになる。グリップを長くして、いろんな握り方ができるというのもメリットですね」。このパター変更で大里のフィーリングが良くなっていった。
それだけではない。36インチというのもポイントだという。「中尺用のシャフトまでいってしまうと、パター自体が重くなりすぎて、悪い症状がでるとテークバックが引けなくなる。通常のシャフトでは一番長い36インチにして、グリップエンド側が重いグリップを入れることによってヘッドが利きすぎず、カウンターバランスで動かしやすくしています」と篠塚氏は教えてくれた。
気分によって変わるカメレオングリップと、中尺“未満”パターで上がってきたパッティングの調子が、今年のトーナメントで最速となる13フィートの高速グリーンに見事にマッチ。「グリーンは速いほうが好きなので、そこは自分に合っているのかな」という大里の2日目以降にも注目したい。(文・下村耕平)
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