<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 最終日◇9日◇茨城GC東C(茨城県)◇6630ヤード・パー72>
優勝を決める前日の公式会見で、西村優菜はメジャー優勝者のイメージについて聞かれ、「私の大好きなチョン・インジさんが勝っているので、私も勝ちたい」と答えていた。実は西村のゆったりとしたスイングリズムや、プレー中の笑顔は、韓国出身で米国女子ツアーを主戦場とするチョン・インジの影響が大きい。
西村は「憧れの人はチョン・インジさん」と何度も公言してきた。昨年、「全米女子オープン」に出場したときには「ネットで予約する形だったので、入れさせていただきました」とインジとの練習ラウンドをゲット。「少し英語で話したんですけど、それを褒めてくれたのがうれしかったです」と話す。
インジのどこに憧れているのか、改めて西村に聞いてみた。「ゴルフスイングのテンポがまったくブレないところが尊敬している部分です。技術面だけでなく歩いたりプレーしている姿が堂々としていて憧れますね。一緒に練習ラウンドしたときには、本当に気さくに話してくださって、やさしさも素敵。それからチョン・インジさんのプレー中の笑顔を見習って、こういうふうにプレーしたいと心がけています」と、インジへのリスペクトが止まらない。
現在26歳のインジは、これまでに「全米女子オープン」、「エビアン選手権」の海外メジャー2勝を含む米国女子ツアー3勝。国内女子ツアーでは、2015年の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」と「日本ン女子オープン」の国内メジャーを制している。ワールドレディスサロンパスカップ優勝時は西村と同じ20歳だった。ディズニー映画の『ダンボ』に雰囲気が似ていることから、『ダンボ』のニックネームで親しまれている人気選手だ。
西村のいうように、インジはドライバーのスイングからアプローチ、パターまでゆったりとしたリズムとテンポが特徴的。4年前にインジを取材したときには『1001』で振っていると答えている。
「スイングのリズムが完璧であれば、ショットの一貫性を保つことができる。コーチが私に教えてくれたリズムの取り方は『ワン・サウザンド・ワン』。始動とバックスイングで『ワン・サウザンド』で、『ワン』がダウンスイングです」。ゴルフ漫画『あした天気になあれ』の主人公、向太陽の『チャー・シュー・メーン』と同じように、インジは『ワン・サウザンド・ワン』と唱えている。以前は飛距離を重視して速いリズムで打っていたが、ゆったりとしたリズムに変えたことで、再現性が抜群に向上し、世界のトップ選手に登りつめた。
海外メジャー優勝を目標としている西村は、インジと同じ舞台でプレーしたいか?と聞かれると、「もちろん!」と即答。「きょうもチョン・インジさんが(サロンパスカップに)優勝したから、優勝したいと思いながらプレーしていました。本当に早く近づきたいと思っているので、一緒の舞台でプレーできたら最高です」。
インジと同じ堂々としたプレースタイルと笑顔、そしてゆったりとしたスイングリズムで、国内メジャーを制圧した20歳の西村。『ダンボ』のように世界に羽ばたく日は近いかもしれない。(文・下村耕平)
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