テニスの全仏オープンに出場していた大坂なおみが「選手のメンタルヘルスを考えてない」という理由から記者会見を拒否。その姿勢に賛否両論が巻き起こり、世界のスポーツ界を大いに騒がせたが、第2戦を迎える前に大坂が大会から棄権。2018年の全米オープン以来、うつ病に悩まされていたことを告白し、しばらくコートから離れることも自身のSNSで発表した。
テニス界の会見拒否は米国チームスポーツのMLB(野球)やNBA(バスケットボール)同様に選手に義務として課されていて、実際に初戦を勝利した大坂が会見場に現れなかったことで罰金1万5000ドル(約165万円)が科され、さらに今後も続けるようならグランドスラムの出場停止となる可能性も示唆されていた。
さて、これがゴルフ界ならどうか?というと、例えば米PGAツアーでいうと「ツアーと選手は個人契約で、メディアと話すことを義務とはできない」という立場をとっているため、例えば会見を拒否しても罰金も出場停止も基本的にはない。
大坂のいうメディア対応というのは、おそらく公式記者会見場で座って記者と向かい合うものだろうが、加えてクイッククオーツ、ミックスゾーンとも呼ばれるところで、試合が終わった選手と記者が立って向かい合うところがある。
ゴルフでは大会によって異なるが、アテストでスコアカードを提出している選手にリクエストしてクイッククオーツに来てもらうのだが、これを拒否して帰ることはかなり日常的にある。
人気選手であれば、例えばタイガー・ウッズ(米国)は毎日必ず記者と向き合っているが、プレーに怒り心頭だったりすると無言で立ち去ることもまれにあった。先日の「全米プロゴルフ選手権」でローリー・マキロイ(北アイルランド)が初日に言葉を残さず立ち去ったが、翌日にはまた記者の前に現れてきちんと話している。
日本の選手は日本のテレビと記者への対応を毎日求められる。負担だろうが、みなほぼしっかりと対応してくれる。ごくまれにその日のプレーによってはどうしても話したくないこともあり、無言でコースを去ることもある。全米プロでは金谷拓実が初日に、松山英樹が3日目に無言だった。ところが、もちろん大会からのおとがめなどは一切ないのがゴルフ界。翌日には二人ともまたメディアの前に姿を現してくれた。
テニス界では「30分以内に」という細かい規定もあるようだが、以前に松山が「プレーを終えた直後はどうしても気持ちが高ぶっていて整理できていない」と話したことがある。
少し時間を置いてから話すことができれば双方にとって良い解決策の一つになるのかもしれない。(文・武川玲子=米国在住)
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