<全米オープン 2日目◇18日◇トリーパインズGCサウスC(米カリフォルニア州)◇7652ヤード・パー71>
「全米プロ」でフィル・ミケルソン(米国)がメジャー最年長優勝を果たし、ゴルフ界の話題をさらったばかりだが、今大会でもベテランがリーダーボードの最上位に立っている。
トータル5アンダー・首位タイで2日目を終えたイングランドのリチャード・ブランド、48歳。世界的には無名と言っていい。今年5月の欧州ツアー「ベットフレッド・ブリティッシュ・マスターズ」で478回目の挑戦にして、念願の初優勝をつかんだ。1996年にプロ転向。48歳での初優勝はツアー最年長記録だった。
「ちょっとした失望、ちょっとした劣等感があった」
長らくツアーで勝てなかった自身のキャリアを、ブランドはそう振り返る。何度もツアー出場権を失い、『引退』の2文字が頭をよぎったことも少なくない。それでも、「7回倒されても、8回立ち上がる」。七転八起の思いで選手生活を続けてきた。
「自分が知っているのはゴルフだけ。ゴルフのキャリアは山あり谷あり。ゴルフでもテニスでもボクシングでも何でも、絶対に諦めないという姿勢が大事。試合では何が起こるか分からない。とにかく前進あるのみだよ」
立ち止まらずに歩み続けてきた成果が、いまトリーパインズGCで発揮されている。初日に「70」と上々発進を決めたかと思えば、2日目の「67」はこの日のベストスコアタイ。出場156人中、予選2日間ともにアンダーパーを記録したわずか4人のうちの一人だ。
ツアー初優勝から1カ月でメジャー制覇。とてつもないサクセスストーリー完成も夢ではない位置だが、当の本人は謙虚に笑う。
「僕はゴルフトーナメントで優勝したことがあるだけの男だよ。だけど、(初優勝したときは)ずっと欲しかったものを手に入れたという満足感が何よりも大きかった。もっと欲しい。ゴルファーなら誰でもそう。願わくば、またそれを味わえるといいね」
その瞬間は、この“世界一過酷な戦い”で訪れるのか。不屈の精神で行く48歳。残り2日間も、25年間のキャリアと同じように“七転八起”のゴルフで頂点を狙う。
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