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金メダルをかけた最終局面、なぜ稲見萌寧は一打届かなかったのか【奥嶋コーチの五輪現地レポ】

<東京五輪ゴルフ競技(女子) 最終日◇7日◇霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県)◇6648ヤード・パー71>
稲見萌寧が世界のトップ選手たちを相手に互角の戦いを見せ、見事に銀メダルを獲得した。稲見のコーチとして今年の躍進を支え、この東京五輪ではキャディとしてバッグを担いだ奥嶋誠昭氏が、コースの中から見た最終ラウンドをレポート。金メダルのネリー・コルダ(米国)にバーディで並んだ17番ホール、そして一打後退してしまった18番ホールのボギーについて語る。
最終日の17番パー4はティが前に出されて実測253ヤード。稲見のドライバーでも1オン可能な距離だった。飛ばし屋の笹生優花にいたっては、フェアウェイウッドで1オンに成功し、イーグルを奪っている。稲見が17番のティイングエリアに立った時点では、一つ後ろの最終組にいるトップのネリーとは1打差。18番は距離が長いパー4のため、金メダルを獲るためには17番でのバーディが必須な状況だった。
■1オン可能な17番パー4でドライバーをミス
まず、ティショットでは2つの選択肢があった。グリーンの手前中央にはバンカーがあるため、稲見の飛距離でまともにピンを狙うとこのバンカーに入ってしまう。そのため、考えられるのは右の花道を狙って乗せるか、左の花道を使って乗せるかのどちらか。今大会の稲見のドライバーの精度なら、どちらでも狙い撃ち可能だった。
「ティショットは右から行くか、左から行くかで迷っていました。左に打ったほうが乗らなくてもアプローチしやすい。右に打ってグリーンを外すと、マウンドを越えてすぐピンだから絶対寄らないんですよ。僕は左のほうがいいと思っていて話をしていたんですけど、本人は『1オン狙うんだったら右がいい』と言うので、最終的な判断は任せました」
奥嶋氏が「あれはミスです」というティショットは、グリーン方向から大きく右にそれてラフの中へ。「やはり真ん中のバンカーがいやだったから右に飛んでいった。絶対寄らないのがわかっていて勝負にいっているからしょうがないです」。奥嶋氏の言うとおり、右のラフからはバンカー越えでピンの手前は下り傾斜になっているため、アプローチでピッタリ寄せるのは不可能な状況だった。
■アプローチのときから同組選手のパットを参考にしようと考えた
でも2人はバーディを諦めていなかった。同組のハナ・グリーン(オーストラリア)が同じように右のラフに外していて、稲見より先にアプローチを打ち、ピンを5.5メートルオーバーさせていた。「オーストラリアの選手よりも(アプローチで)中に入っていれば大丈夫と言っていたんですよ。そうすれば(パッティングの)ラインを見られるから。寄せるのは無理なので中に入っていればチャンスはある」。
稲見は手前のバンカーを警戒しつつ、絶妙なアプローチでハナ・グリーンより手前、ピンまで4メートルの位置に寄せた。このあと雷雲接近の中断を挟み、再開後に勝負のバーディトライを迎える。
「下りのスライスで最後にどっちに切れるかをずっと迷っていました。僕らはちょっとフックで読んでいたんです。でもオーストラリアの選手が打ったら真っすぐ抜けていった。ラインを見れたのは助かりました。あの人がいなかったら入らなかったです」。稲見のバーディパットはカップに吸い込まれてトータル17アンダーでトップに並ぶ。2打目のアプローチのときから狙って、パットのラインを参考にする作戦がうまくいった。
■前日にグリーンをオーバーしている18番は、緩んで手前のバンカーへ
後ろのネリーは17番でバーディを獲れなかったため、最終18番ホールのプレーがメダルの色を分けることとなった。18番は436ヤードのパー4。稲見のドライバーの飛距離では、グリーンを狙う2打目で長い距離が残る。初日、2日目はバーディを獲ったものの、3日目はピンまで残り195ヤードのセカンドショットをユーティリティでグリーンの奥に外しボギーにしていた。
稲見のドライバーでのティショットはフェアウェイをキープ。しかし、ピンまで残り178ヤードが残った。「5番アイアンでは届かない。5番ユーティリティでは大きいという状況でした。『ユーティリティで普通に打ったほうがいいよ』という話をしていたんですけど、本人は前日にオーバーしているから、普通には打てなかった。ちょっと緩んで右に行ってしまった」。
確実にパーで上がりたい状況だったが、ユーティリティでのセカンドショットは、グリーン手前のバンカーへ。しかも、直前の雨の影響でボールが砂に刺さり、目玉になってしまった。
■目玉になった濡れたバンカーは、飛び方の判断が難しかった
「砂が濡れて重いからボールが飛ばないのはわかっているけど、打てないですよね。完全な目玉ではなく中途半端な目玉で、砂の感触もよくわからない。ズボっていくのか、弾かれて前にいくのかもわからなくて、とりあえず出ればいいとガーンと打ったらやっぱり飛ばなかったです」
稲見の3打目のバンカーショットは、ピンよりもだいぶ手前に落ち、9メートルのパーパットを残した。これは入らずにボギーとして、ホールアウト時点でネリーとは1打差の2位。ネリーが18番をパーでまとめ、金メダルには一打届かなかった。
「ああなっちゃったのは、やむを得ない感じがする。結局最後は、“飛ばないからこうなる”というところに落ち着いてしまった」と奥嶋氏。金と銀を分けたのは、セカンドをアイアンで打てるかどうかの飛距離の差だった。稲見が18番で残り178ヤードのセカンドショットをユーティリティで手前のバンカーに入れたのに対し、ネリーは残り142ヤードのラフから確実にアイアンで2オンさせた。
最終組でネリーと一緒に回っていたアディティ・アショク(インド)は18番でバーディを奪えずにトータル15アンダー止まり。この時点で稲見のメダルは確定。トータル16アンダーで並んだ稲見とリディア・コ(ニュージーランド)による銀メダルをかけたプレーオフに突入した。
■プレーオフの18番は、あえてピンに届かないクラブを選択
プレーオフ1ホール目は「ちょっと不利かなと思った」という18番ホール。稲見のドライバーでのティショットは「さっきよりも10メートル前にいった」。ピンに届かせるためには5番アイアンだったが、風がフォローだったこともあり、グリーンオーバーのリスクを回避して確実にグリーンに乗せられる6番アイアンを選択した。
最初は5番アイアンと6番アイアンを2本持って迷っていた稲見。一度は5番アイアンで構えて、直前で6番アイアンに替えている。相手のリディアのティショットがフェアウェイバンカーのアゴの近くに入り、2打目がレイアップでパーオンできなかったこともクラブ選択に影響した。「リディア・コはボギーになる可能性があるから、パーを獲ればいいと思っていた」と奥嶋氏。稲見は2オン2パットのパーで、3オンして1パットで沈められなかったリディアを下した。3日目と最終日に悔しいボギーを叩いた18番ホールを、最後に2人は笑顔であとにした。
奥嶋誠昭
おくしま・ともあき 1980年3月26日生まれ。神奈川県出身。ヒルトップ横浜クラブ内の「ノビテックゴルフスタジオ」で、体とクラブの動きを3次元で計測・解析する『GEARS』(ギアーズ)をはじめとする、世界最先端機器を駆使したレッスンを行っている。ツアープロコーチとして、稲見萌寧、高橋彩華、木下稜介らを指導。いずれの選手もツアー屈指のショットーメーカーとして活躍している。奥嶋氏のSNSにはゴルフの話題だけではなく、小学5年生の愛娘もときどき登場する。
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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