<フジサンケイクラシック 最終日◇5日◇富士桜カントリー倶楽部(山梨県)◇7566ヤード・パー71>
今年「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」でツアー初優勝を遂げ、翌戦の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」で2勝目を挙げるなど、賞金ランキング2位につける木下稜介。「全英オープン」、「WGC-フェデックス・セントジュード招待」に出場し、米国遠征帰り2戦目の「フジサンケイクラシック」で存在感を示した。
初日「73」の2オーバー・53位タイと出遅れた。「ティショットも、2打目もよかったのですが、パットが一切入らなくて…」。パーオン率は2位タイ(77.78%)で平均パット数は80位タイ(1.8571)。グリーン上での苦しみは3日間続き、17位タイで迎えた最終日は、6バーディ・1ボギーの「66」と伸ばして、5位タイでフィニッシュした。巻き返せた要因は海外遠征の成果でもある。
2勝を挙げて楽しみに臨んだ全英オープンは59位タイ、WGCは43位タイと海外では歯が立たなかった。「心が折れました、レベルが本当に半端なかったので。2勝して自信をつけていったんですけど、その自信も砕かれました」。試合間を含めて1カ月半ほど海外に滞在したが、「本当に貴重な時間でした。アイアンショットは自信をつかみましたが、課題ももちろんたくさんみつかりました」と、海外で飛躍するための課題も持ち帰った。
日本勢が海外に行くとパワーの差を痛感させられる。「飛距離的な課題もありますが、欧米の選手は体が大きいので、半分あきらめていますけど、やっぱり100ヤード以内の精度。そこから2回で上がる精度がすごく高く感じました」。パワーでは太刀打ちできないが、100ヤード以内から2回で上がる精度を高めれば、世界との差を詰められると感じた。それと同時に「向こうの選手は、調子が悪くても5アンダーとか、なんとかしてアンダーで上がってくる。そういう力が大事なんだなと感じました。今日もショートゲームはあんまりよくなかったのですが、その中で最低限のスコアは出せたと思っています」。最終日の「66」は、“調子が悪くてもスコアを伸ばす”というテーマを持ってのトップ5入りだ。
世界のトップ選手が出場する2試合で、見て盗んだ収穫もある。その一つがスタート前の練習グリーンで器具を使って練習することだ。「いろんな器具を使って練習している人がいました。特にミラーは多かったですね」。ラウンド後に器具を使って練習することはあっても、スタート前に行うことはなかった。木下は軌道が記されたマットに、アウトサイドインの悪癖が出ないようにティペグをさしてストロークを矯正する練習を行うが、帰国後はスタート前にも行うようになった。「スタート前にストロークを確認できるので、これはいいと思いました」。日本でも先輩プロからのアドバイスを取り入れて成長してきた木下。米国遠征での収穫もすぐに取り入れるようになった。
「日本での賞金王は一つの目標ですが、今は海外の試合に出たいです」。海外の試合で通用するために技術を磨けば、おのずと日本のトップも見えてくる。同じ年の松山英樹、石川遼に刺激を受ける木下。磨けば光る原石がここにある。(文・小高拓)
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