<日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 3日目◇11日◇静ヒルズカントリークラブ(茨城県)◇6680ヤード・パー72>
コロナ禍のため2020年6月の「アース・モンダミンカップ」で始まった20-21年シーズン。ツアールーキーの西郷真央はその大会で5位タイ、そして2戦目の「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」でも5位と鮮烈なデビューを飾った。そのルーキー・西郷が今大会、単独首位で最終日を迎える。
「あまり人のスコアを気にするタイプではないので、しっかり自分のゴルフに集中したい」と、話す西郷。決勝初日の大会3日目は6つのバーディを獲り、ボギーなしで12アンダーまでスコアを伸ばした。2位タイの稲見萌寧、大山志保とはわずかに1ストロークの差ではあるが、「ほかの人のプレーは私がどうにかできるものではありません。目の前の一打に集中します」と、何年もツアーで戦っているプロたちのように冷静だった。
宮里藍が学んだ『ビジョン54』の教えで、“自分がコントロールできることとコントロールできないことを分ける”というものがある。プレー中に吹く風や他者のプレーなどがコントロールできないことなのだが、コントロールできないからこそメンタルを崩されてスイングを乱すものなのだ。だが、西郷はすでにそのことを理解し、己をコントロールしていた。このプレッシャーに強いメンタリティは、明日の最終日にも強い味方となってくれるに違いない。
「きょうはいいプレーができました。16番のセカンドショットはイメージどおりに打てて、そこから17番も攻めていけました。15番のパー3でも距離が届くか微妙だったのですが、しっかり振り切れてバーディが獲れ、それが16番のバーディにつながった。16番も自分の飛距離ではかなりギリギリだったんですが、風のジャッジもよくピンそば1メートルにつけることができました」。自分自身のジャッジ、己がコントロールできることに全力を向けた結果が単独首位につながった。
今シーズン、これまでトップ10が13回で、現在の賞金ランキングは9位。ルーキーながら、いつ優勝してもおかしくはない成績を挙げている実力者だ。その実力のほどをしっかり匂わせ、「アイアンショットの上がりは、思ったとおりに打てている」と話す。プロでもスタート前の練習場で打った球の高さと、コースで打つ球の高さがそろわないことがある。この高さへのこだわりもまた、凡人ではない西郷の強さである。
難コースだからこそ、己ができることに徹することが重要となる。それを知る西郷は、どんな結果になろうとも最終日を笑顔で締めくくることだろう。いや、西郷のこの日のプレーを見た誰もが、笑顔で優勝杯を掲げる姿を目に浮かべるに違いない。激戦となっている今大会、最終日最終組から目が離せない。(文・河合昌浩)
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