<日本女子オープン 初日◇30日◇烏山城カントリークラブ(栃木県)◇6550ヤード・パー71>
48度目のメジャー挑戦の初日、上田桃子が5アンダーと好発進を切った。最終9番をパーで締め、ホールアウト時点で単独トップ。「後半3、4ホールはいいパーセーブもあった。総合的に全部がいい1日だった」と、気分よくクラブハウスに戻ってきた。
この日は午前組の一人として10番からスタートすると、14、15番で連続バーディ。さらに490ヤードのパー4で、最難関ともくされる17番ホールでは、残り195ヤードの2打目を4番ユーティリティでピン手前3メートルにつけてバーディを奪った。「きょうはピンが奥だったけど、そのほうが狙いやすい。いいピンの時にチャンスから打ちたいと思っていた。気持ちよく打てました」。ここでのフェアウェイからのセカンドなど、随所に「いい感じ」と話すショットのキレが冴えわたった。
前回、烏山城CCで行われた2016年大会は、初日に「81」を叩くなど苦しいラウンドを強いられた。結局トータル14オーバーで予選落ち。嫌な記憶として残りそうなできごとだが、本人は「こっちゃん(堀琴音)が優勝争いしたこととかは覚えているけど、(自分の)スコアや、このコースの思い出が全然ない」という。
当時、上田のキャディを務め、今回は小祝さくらのバッグを担ぐ小畑貴宏氏は、この言葉を聞くと『(記憶から)抹消したいんじゃない?』と“笑い話”にしたほど。これを聞いた上田も「そうだったんだと思う」と感じた。すぐにでも忘れたいほど散々な内容だったというのが、“思い出が全然ない”ことの理由になっているようだ。
そんな苦い記憶があるコースで、5バーディでボギーなしとリベンジに成功した。小畑キャディからは、練習ラウンドの時に『あの頃よりもいい』と太鼓判が押されたというが、それが結果としてあらわれた。あすは悪天候の予報も出され、さらにタフなコンディションになることも予想される。「バーディもボギーも来る」と警戒するコースなだけに、より高い集中力が求められることになりそうだが、「風次第で状況は変わる。その場その場でベストな選択をしたい」と立ち向かっていく。
今年6月には結婚。新たな生活のなか、シーズンを戦っている。それでも「いろいろな人に聞かれるけど、家でゴルフの話もしないし、ゴルフ場に行ったら集中して練習するだけ。落ち込んだ時に励ましてくれる時はあるけど、それくらい」と、感じる変化は大きなものではない。
とはいえもちろん、新たな家族は大きな支えになっている。1カ月ほど前、調子が上がらず気持ちが落ち込んだ時には、夫婦そろって東京タワーにあがり気分転換。「明るい人なので、落ち込んでいるときは元気にしてくれる。そこはいいですね」とその存在は大きい。
通算16勝を誇る実力者だが、ここまで47回挑んできたメジャー大会でのタイトル獲得はない。なかでも“日本一”の称号がかかっている、ナショナルオープンへの思いは強い。「一番獲りたい大会。優勝争いをしても手が届いていない。心技体そろって初めて勝てると思う。4日間ずっと調子がいいことはないと思うし、丁寧なゴルフが求められる」。かつて屈辱を味わった舞台で、今度は悲願達成へ突き進んでいきたい。
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