<ZOZOチャンピオンシップ 事前情報◇20日◇アコーディア・ゴルフ 習志野CC(千葉県)◇7041ヤード・パー70>
大会開幕を翌日に控えた夕闇の練習場で、松山英樹が放つショットが乾いた音を響かせていた。最後までドライビングレンジで敢行した打ち込み。いまの状態は「マスターズ」優勝時の10分の一以下と形容するほど調子の悪さを実感しているが、久しぶりに日本ファンの前でプレーするその姿を万全なものにするには、時間はいくらあっても足りない。
先週の「ザ・CJカップ@サミット」終了直後にPGAツアーが用意したチャーター機に乗り、日本到着は火曜日の早朝3時。そこから検査など入国のための手続きを経てホテル着が6時。すぐにコースへと向かうと、体のケアを受けて早朝からコースへと飛び出した。
さすがにこの日はフルチャージの練習ラウンドとはいかなかったが、水曜日に再びコースに現れると、18ホールの練習ラウンドを行った。その後、公式会見に臨み、向かったのは練習場。これはいつもの光景だが、すでにコースは急速に訪れた秋の夕暮れが深まっていた。
あたりが暗くなっても松山は球を打ち続け、最後にはパッティンググリーンで球を転がし、暗闇のなか、人影もなくなったコースを後にした。
「自分のベストのプレーをすることが大事なので、頑張りたい」。さらりと放つ言葉は派手ではないが、決意がこもる。日本のエースと呼ばれ続けて久しい。今年はメジャーチャンピオンにも上り詰めた。ギャラリーには、そんなエースの姿を見せる責任がある。
コロナ禍で行われる唯一の米ツアーアジアシリーズ。「コロナの前は韓国、中国、少し前まではマレーシアでも試合があったんですけど、日本でできるということは時差も少なく、テレビなどで情報も入りやすく、それはいいこと」と、アジア圏にとってこの開催は大きな意味を持つことを理解している。
アジア人初のマスターズ覇者としての自覚、そして母国開催のZOZOへの思い。2年前の第1回大会ではタイガー・ウッズ(米国)に屈し2位に終わったが、今年はそうはいかない。「少しでもファンの方にいいプレーを見せられるようにしたい」。静かに闘志を燃やす松山のプレーは初日、日本時間の10時20分にスタート。きっと、時差の少ないアジア圏のゴルフファンも、注目しているはずだ。
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