<マイナビABCチャンピオンシップ 最終日◇7日◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇7217ヤード・パー72>
上がり4ホールで3つのバーディを奪った浅地洋佑が、同組で抜きつ抜かれつの熱戦を繰り広げた堀川未来夢と石坂友宏を突き放してツアー3勝目を挙げた。マイナビカラーのジャケットを身にまとって優勝会見に臨んだ浅地は、「前の優勝から長かった。ようやく勝てました」と笑顔で語った。
7番のバーディで一時はトータル15アンダーまで伸ばし、一歩抜け出した。しかし、続く難関の8番パー3では、下りアプローチで「もっと転がると思った」と傾斜を読みすぎて5メートルショートしボギー。続く9番でもセカンドショットを寄らない左のグラスバンカーに外して、連続ボギーを喫する。トップの石坂を1打追うかたちで折り返した。
左ドッグレッグの15番パー5のティイングエリアに立った時点では、石坂と堀川に1打ビハインド。ティショットはドライバーで右のファーストカットに運ぶと、ピンまで残り267ヤードを3番ウッドでピンハイにつけて、2パットバーディを奪取。トータル14アンダーとして、ついに首位の石坂と堀川をとらえた。続く174ヤードの16番パー3ではグリーン左のラフに外すも、アプローチでナイスセーブ。
そして、ティショットをフェアウェイに置くのが難しい17番パー4でドラマが待っていた。いつもは左からの風が吹いているが、きょうは右からのアゲインスト。「いつもと違う、やったことがない風で力んで引っかけた」と、フィニッシュでドライバーを地面に落とし、ボールは左へ。セカンド地点では15ヤード先に大きな2本の木があって直接ピンは狙えない。ボギーでもおかしくない場面だった。
意外にもこの場面で、浅地とキャディの木村憲仁氏は落ち着いていた。練習ラウンドで池村寛世と回ったときに、「左は広いね」と話していたのだ
しかも、幸いにもボールがラフに浮いていて、ボールは上げやすい状況だった。ピンまでは残り180ヤード。浅地は7番アイアンを振り抜いた。放たれたボールは目の前の2本の木の左を抜いて、さらに40ヤード先にある左の林の上からスライスをかけるスーパーショット。パーオンに成功した。「左はOBがあるので、しっかりスライスをかけて、奥の木を超える高さを出さないといけない。普通に打ったら7番アイアンで超える高さ。左に引っ張らないようにしました」と浅地は起死回生のショットを振り返る。
さらに、「フェアウェイのいいところから打つよりも、『あそこに打たないといけない』というほうが気が楽ですね。楽しいです。ショートコースでネット超えのアプローチをよくやっていたのが生きましたね」と笑った。
この17番には続きがある。8メートルのバーディパットをねじ込んで、渾身のガッツポーズ。石坂と堀川の2人がパーだったため、一時は絶体絶命の状況に追い込まれた浅地が、18番パー5のティイングエリアに立った時点で1打差の単独トップに立った。
「最終ホールでしっかりバーディを獲れれば勝てると思いました」。ティショットはフェードで左からのフォローの風に乗せた。木村キャディが「4日間で一番完璧なショット」という当たり。距離が出た上にフェアウェイキープにも成功する。対照的に石坂と堀川のティショットは左のフェアウェイバンカーへ。
「ほかの2人が3打目勝負だったので、乗せれば勝てる。セカンドショットは乗せることに徹しました」。浅地の2打目は残り170ヤード。8番アイアンで2オンに成功し、勝負あり。9メートルのイーグルパットこそ外したものの、プラン通りにバーディを奪って、グリーンの脇で待っていた仲間たちから祝福のウォーターシャワーを浴びた。
これで今季の獲得賞金は5千万あまり。目標について聞かれると、「何も決めてなかったですけど、あと4試合あるので、がんばって賞金1億円超えたいですね。毎週2位で(笑)。もう一回勝てたら最高ですけど、高めの目標で1億」と答えた。
この優勝とは関係ないが、1カ月前に髪を赤く染めた。「一回赤をやってみたい」という素朴な理由。いままで茶色や銀、灰色などいろんな色にしてきたが、赤は「僕自身ではけっこう気に入っているんですけど、あまり周りの評判がよくない」と、早くも違う色に染めることを検討している。紅葉彩る季節に赤髪で勝利。次に勝つときは、何色に染まっているのだろうか。
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