国内女子ツアーも残りわずか3試合。今週は11月12日(金)から「伊藤園レディス」が行われる。今シーズン最後の関東での戦いを制するのは誰なのか。青木瀬令奈のコーチを務める大西翔太氏が展望を語る。
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■求められるのは“丁寧なゴルフ”
今年で37回目を迎える伝統ある戦い。1994年から26年間舞台となっているのが千葉県にあるグレートアイランド倶楽部だ。左側に池があり天国と地獄が分かれる18番ホールが名物のコースを大西氏は、「一言で言えば丁寧なゴルフが求められる」という。
「グリーンに向かってどう攻めるかティショットから1つ1つ雑にやらない選手が上位にきます。ラフが長いわけではないですが、曲げてしまうとグリーンを狙えないホールも多い。不動裕理さんにしても、イ・ボミさんにしても何度も勝っている選手はそういった選手たちです」
さらに今年はこんな特徴があるという。「火曜日の雨の影響もあってかなりグリーンが軟らかい。なので、フェアウェイウッドやユーティリティでも止まります。むしろ力のある選手だとスピンバックしすぎてしまうかもしれません。そのあたりのコントロールも求められます」。ショットの精度に加えて、縦距離の管理も求められそうだ。
■今週はボスがやります!
「自分で言うのもなんですが…」と前置きしつつ、注目の選手として挙げたのが青木瀬令奈。「15年、18年と優勝争いしていますし、本人もシーズンで一番好きなコース、勝ちに行けるコースと言っています」とマネジメントのうまさ、長いクラブで止める技術に加えて相性の良さは随一だ。
モチベーションが高いのもいい方向に向きそうだ。「優勝して、シードも持っていて…、となるとこの時期、目標を見失うというか、惰性でやってしまう選手も出てくる。でも、青木さんはこの試合を楽しみにしていて気合も十分です。前週も4位で調子もいいですし、間違いなく狙っていると思いますよ」と“ボス”に期待を寄せた。
■プラチナ世代の小さな巨人にも期待大
次に挙げたのが昨年覇者で賞金女王争い真っただ中の古江彩佳。「マネジメントが丁寧で、ティショットから逆算して攻められる選手といえば筆頭でしょう」。直近4試合で3勝という調子の良さも「いいときに勝ち切れる強さがある」と言い切る。
球筋も追い風となりそうだ。「17番パー3のティショット、18番の2打目は左に池が絡むなかで、最終日はグリーンの左にピンが切られることが多いですが、やはりドローヒッターのほうが攻めやすいです。さらに奥となれば長い番手で手前からランを出していくほうがイメージが沸く。パワーヒッターは逆に奥が怖いと思います。そういった意味でも有利に働くと思いますよ」。昨年プロ初勝利を挙げた「デサントレディース東海クラシック」も18番に池があるなかプレーオフでベタピンショットで勝利。そのイメージが重なる。
青木、古江と同じ理由で名前を挙げたのが西村優菜。「長い番手でピンに絡めるといえばこの人です。少しずつ調子も戻ってきていますし、いいところで戦えるような気がしています」と150センチ台の小さな巨人たちの躍動を予想した。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、10月12日には著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売。
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