常に真剣勝負に身を置き、戦いを続けるゴルファーたち。過酷な環境でクラブを振っているからこそ出る力強い名言、ウィットに富んだジョーク、そしてちょっぴり天然な迷言たちがある。そんな“ゴルファーのことば”を紹介。今回は、昨年賞金王争いに加わり、先週サウジアラビアで開催された「PIFサウジインターナショナル」で8位タイに入った木下稜介のことば。
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「あそこで負けてよかったのかな」
国内男子ツアーの2020−21シーズンブレイクしたのが木下稜介。21年6月の「日本ゴルフツアー選手権」での初優勝を含む2勝を挙げ、賞金王争いを演じた。また、全英オープンに出場するなど世界の舞台も経験。「今年は積極的に海外に挑戦したい」と話しているように、松山英樹の背中を追って米ツアー参戦を目指している。
先週行われたアジアンツアー「PIFサウジインターナショナル」が木下にとっての今季初戦。ワールドランキング50位以内の選手が21人も出場する中で8位タイに入った。初優勝を遂げた昨年から着実にステップアップしているが、その原点となったのは20年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」の敗戦である。
木下は71ホール目まで単独首位を守り、ツアー初優勝に王手をかけていた。しかし、一つ前の組で回っていた香妻陣一朗が最終ホールでイーグルを奪い、まさかの逆転負け。18年に初シードを獲得して以来、初めて最後まで優勝争いに加わったが苦い経験となった。
「あそこで負けたことで勝ちたいという思いが強くなりました」。未勝利のまま年末を迎え、「すべてが足りなかった」とオフは4月の国内開幕に向けてスイングと肉材を改造してレベルアップを図った。その結果が成績につながり、ツアー初優勝を遂げ、賞金王争いを演じるまでに成長した。
1年後の21年11月、苦い経験をした舞台に戻ると「昨年勝っていたら今の位置(賞金王争い)にいたか分かりません。今はプラスに考えています。あそこで負けてよかったのかなと」。敗戦をバネにして大きな成長を遂げた。
昨季は賞金王争いを盛り上げたが賞金ランキング3位でシーズンを終えた。この悔しさをバネに、今季は再びスケールアップをしてさらなる飛躍の予感がする。
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