昨年「フジサンケイクラシック」で2位に入るなどの活躍を見せて初シードを獲得し、今季からブラックアンドホワイト ホワイトラインとウェア契約を結ぶなど、初優勝が期待される選手の一人である池上憲士郎。有名なアニメから名付けられた覚えやすい名前を持つ29歳は、ゴルフに対して一家言ある選手でもある。そんな“ケンシロウ”に自身のスイングやセッティングの解説、持ち球の打ち方まで様々な質問をぶつけてみた。今回は持ち球の1つ、“ふんわりドロー”の打ち方について。
今季レギュラーツアーにフル参戦するケンシロウが、ファンに見てほしいプレーとして挙げたのがピンを差すアイアンショット。「様々な球筋で攻めていくところを見てほしい」というが、そのなかの1つに“ふんわりドロー”と気になる技が。
風があまりなく、距離が中途半端なときに打つ球らしい。「例えばピンまで132ヤード、ピッチングでフルショットだと届かない。でも風はちょっとアゲてるというときに、ちょっとドロー目でいった方が、ちょっとだけ距離が出るので、9番アイアンでそういう球を打ったりします」。ケンシロウに実際に打ってもらうと、フワリと浮いて上がり、着弾した後はドローらしくランもある程度出る。なかなか難しそうな球だが、どのように打っているのだろうか。ということで、早速打ち方を教えてもらおう。
まずは大前提。「打つコツとしては…。カラダとクラブの同調だと僕は思います。ヘッドを走らせすぎてもダメだということです」。これはどんなアイアンショットでも、必要なことだという。
では、実際に“ふんわりドロー”を打っていこう。すべてに共通するのは「ちょっとだけ」ということだ。
ドローなので少し右を向きたくところだが、ケンシロウ流はアドレスでやや左足を引く。「飛びすぎが嫌なので、左足はスクエアではありません。でも、極端にじゃないんですよ。ちょっとだけ。ワンヘッド分いかないくらい、左足をちょっとだけオープンにします」。ボール位置は普段通りでいい。
フェース管理も“ふんわりドロー”では大事な項目の1つ。「軽いドロー打つときはフェースをあまり開かないようにします。なぜなら、ローテーションをあまりしたくないからです。開くとフェースローテーションが多くなるので、その分、ブレやすい」と最初からつかまるセッティングにしておくのもポイント。
「上から見るとクラブだけはちょっと左を向いて(閉じて)いるように見えるんですよね…。どう言ったらいいのかな」と説明を悩ませる部分だが、伝え方がひらめいた。「インテンショナルなドローを打ちますよ、という構えからちょっと左足を引く感じ。そうするとフェースアングルはそのままで足だけちょっと左になる」。振っていかないドローだからこそ、つかまりすぎを防ぐのだ。
打つときに大事となるのは左腰。「止めないようにしてください。壁を作らないように、ちゃんと回しましょう。左腰を止めるとヘッドが走りすぎて、引っかけたり、右にプッシュしてしまう。左サイドをリードしていって振っていく。それだけです」。とにかくフワリとした球を出すためには、ヘッドは走らせてはいけない。
力感は距離によって様々。「これは感覚の部分なので人それぞれのところもありますが、9番アイアンで140ヤードとして、打つ距離が135ヤードなら、僕なら8割くらいの感じで抑えて打ちますね」と教えてくれた。
まさに柔よく剛を制す。実際にアマチュアの皆さんも試してみては。
池上憲士郎(いけがみ・けんしろう)
1992年4月17日生まれ、岡山県総社市出身。祖父の影響でゴルフを始め、ジュニア時代から様々な大会で活躍。高校は強豪ゴルフ部のある香川西へ進学、木下稜介の1学年下で腕を磨いた。大学は名門・東北福祉大へ。ここにも1学年上に松山英樹という最高の手本があった。14年にプロ転向、20-21年シーズンは21年の「フジサンケイクラシック」で2位に入るなどの活躍を見せて初シードを獲得した。憲士郎の名は漫画「北斗の拳」の主人公が由来。180cm/76kg
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