<ウェイスト・マネジメント・フェニックス・オープン 最終日◇13日◇TPCスコッツデール スタジアムC(米アリゾナ州)◇7261ヤード・パー71>
ツアー屈指の名物ホールである16番パー3。大音響のミュージックに大音量のマイクパフォーマンスが繰り広げられるなか、ホール全体を約2万人のギャラリーが囲み、スーパープレーを今か今かと心待ちにする。
今年はなんと2度もその瞬間が訪れた。大会3日目にはサム・ライダー(米国)が今大会7年ぶりとなるホールインワンを達成すると、続く最終日にはカルロス・オルティス(メキシコ)も9番アイアンでのショットがカップに吸い込まれた。
その光景に興奮はおさまらず、地鳴りともいえる大声援が鳴り響く。すでにお酒が入っている観客はビール缶などをグリーンに投げ込み、まさに“ビールの雨”のようだった。
さらに16番ではエースだけでなく、チップインバーディでビールが投げ込まれるなど連日大騒ぎ。「掃除するのに大変だよ」と15分ほどかかる事態の収拾にボランティアは苦笑いしたが、困惑したのはボランティアだけではなかった。
ビール缶やその他のものが投げ込まれたことでグリーンが重くなり、パッティングラインやタッチに影響を及ぼしたのでは、とも言われている。実際に大会最終日、松山は約10メートルのバーディパットを約1メートルショート。プレーオフのすえ敗れたパトリック・キャントレーや今大会3位のザンダー・シャウフェレ(ともに米国)、同10位で終えたジョン・ラーム(スペイン)らもそろってバーディパットがカップに届かなかった。
優勝を飾ったスコッティ・シェフラー(米国)も15センチ届かずパー。グリーンについては「重かった(笑)」と冗談めかして告白したが、「見ていてとても面白かったよ」とその観客のヤジを含んだ声援を後押しに優勝へつなげた。
マナーがいいとは言えないが、この光景は大会オリジナルともいえる盛り上がり方のひとつ。選手のモチベーションを上げる一方で、プレーには悪影響を与えているともいえるが。ウィン・ウィンのなにかいい方法はないものか。
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