国内女子ツアーの新シーズン開幕まで、残すところあと1カ月ほど。試合がないのは寂しい限りだが、オフのトレーニング情報などから、どんなシーズンになるのかと思いを巡らせる楽しい時期でもある。そこで2020-21年シーズンの数字を参考にしながら、色々なスタッツで注目すべき選手を紹介。今季産休明けから復帰する大西葵の兄で、青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏に今季の女子ツアーの行方を予想してもらった。今回はフェアウェイキープ率。
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昨シーズンは酒井美紀さんが80%を超える異次元の数字をたたき出しました。元々“曲がらない”ことに定評のある選手ですが、さすがの一言。今季どこまで伸ばすのか気になるところです。
そのなかで、僕がこのスタッツで注目したいのが西村優菜さんです。昨シーズンは7位(76.5695%)。ルーキーとしては素晴らしい数字だと思いますが、厳しい注文になるかもしれませんが、逆に言えばここに賞金女王争いに加わりながらも戴冠できなかった要因があるように思えます。
西村さんのゴルフの肝は、何と言ってもフェアウェイウッド、ユーティリティでもウェッジショット並みを誇る正確性です。たとえ飛距離が出なくとも後ろからピンをさしてバーディを奪う。そのゴルフを展開するためにはフェアウェイキープが不可欠です。どうしても小柄な分、ラフや傾斜地からだと上から打ち込めないため、チャンスにつけることは厳しくなってしまいます。
ですので、厳しい言い方になりますが「7位に入っているからいい」ではなくて「1位を獲らないとだめだ」と思ってもらいたいです。ここが上がってくれば、ほかのスタッツも自然と上がってきます。つまり、成績も上がるというわけです。
まだまだ上げられる余地もあると思います。昨シーズン、不調だったときはどうしてもリズムとテンポが速くなってしまっていました。こうなるといくら西村さんでも修正が効かない。特にシーズン終盤は初めてのフル参戦ということもあって体力的な問題も出たと思います。逆に、一定のリズムとテンポを心がけることができれば、あのきれいなスイングではそうそう曲がらないと思います。
もちろん、西村さんはクレバーな選手ですから、僕が言わなくとも重々承知だと思いますし、このオフで磨きをかけていると思います。フェアウェイからチャンスを作る続けることが女王への道。80%にたどり着くことができれば、賞金でもポイントランクでも頂点が見えてくると思いますよ。
【20-21年フェアウェイキープ率トップ10】
1位:酒井 美紀 82.4373%
2位:篠原 まりあ 79.5721%
3位:吉本 ここね 78.8%
4位:申 ジエ 78.1994%
5位:古江 彩佳 76.978%
6位:木村 彩子 76.8939%
7位:西村 優菜 76.5695%
8位:青木 瀬令奈 76.4881%
9位:山下 美夢有 76.2613%
10位:稲見 萌寧 75.961%
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。
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