3月で25歳の誕生日を迎える野澤真央。18歳でプロテストに合格し、17年シーズンにはステップ・アップ・ツアー3勝、そして昨シーズン、レギュラーツアーの初シード獲得と、着実に成長を続けている。そんな野澤のスイングの一番の特徴は、インパクト前にボールよりも先に顔が向く『ルックアップ』。よくアマチュアはしっかりボールを見ろと言われるが、ここに飛距離を生む要因があると、堀琴音らを指導する“モリモリさん”こと森守洋氏はいう。
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野澤プロはオーソドックスな左手のセミストロンググリップからのコンパクトなトップ。そこから『ルックアップ』しながら一気に体をターンさせていきます。
バックスイングで左腕が地面と平行になったときには、すでにクラブが左腕より90度以上の角度がつき、手首のコッキングが完了されています。アマチュアゴルファーだと、このポジションでしっかりコッキングが完了されている方は少ないですね。野澤プロの場合、早い段階でコッキングが完了し、クラブをリリースする準備ができていますので、これ以上大きなトップを作る必要がありません。だからコンパクトなトップからシャープに切り返せるわけです。
さらに、野澤プロは高い身体能力を生かし、バックスイングで骨盤の位置が大きく動かずに旋回していくのも特徴的です。普通はバックスイングから切り返しで多少の左右のスライドが入るものですが、野澤プロは骨盤の位置がほぼ変わらずに一気に旋回していきます。
骨盤をズラさないほうが旋回するスピードが上げやすいので、大きな飛距離が生まれます。切り返してからは かつての米ツアー賞金王、デビッド・デュバルやアニカ・ソレンスタムを彷彿とさせる『ルックアップ』で、顔を目標方向に向けながら一気に体をターン。大きな美しいフィニッシュへつなげています。『ルックアップ』といっても、頭の高さと上体の前傾角度が変わらずキープされているので、ボールを強く押し込むことができるのです。
バックスイングで右に骨盤をスライドさせずに、インパクトでルックアップする選手はPGAツアーなどにも多く、今風のスイングだと言えます。ただし、このバックスイングは、かなりの体の強さとやわらかさが必要。プロならでのアスリートスイングですね。
参考になるのはやはり『ルックアップ』。インパクトで体が止まって減速してしまうアマチュアの方は、練習ドリルとしてでも構わないので、野澤プロのような『ルックアップ』を取り入れてみることをお勧めいたします。
■解説/森守洋
もり・もりひろ 1977年2月27日静岡県生まれ。ゴルフを始めたのは高校から。95年に渡米しミニツアーを転戦しながらゴルフを学んだ。帰国後は『ダウンブローの神様』と呼ばれた陳清波に師事。02年からレッスン活動を開始し、現在は原江里菜、堀琴音、香妻陣一朗のコーチを務めている。東京都三鷹市にある『東京ゴルフスタジオ』を主宰し、アマチュアへのレッスンも行う。
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