19年シーズンはレギュラーツアー5試合の出場ですべて予選落ち、獲得賞金0に終わった田辺ひかりだったが、2020-21年シーズンは、46試合に出場して28試合で予選通過を果たした。そして、メルセデス・ランキング43位、年間獲得賞金42位の成績で、初シードをつかみ取った。田辺のスイングで目を引くのは、ドライバーのフルショットのときでもグリップを余らせて短く握ること。そのメリットについて、堀琴音らを指導する“モリモリさん”こと森守洋氏に解説してもらおう。
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田辺プロで特徴的なのが、グリップをかなり短く握っている点です。短く握るといえば、男子ツアーで2度賞金王を獲得している今平周吾プロですが、田辺プロのほうが短く握っているようにも見えます。
クラブを短く握るメリットはカウンターバランス効果。手元の重さを上げれば、ヘッドを軽く感じるわけで、「振りやすくなる」、「操作性が上がる」、逆に「ヘッドスピードが上がる」などたくさんメリットがあります。お箸の端っこを持つより、短く握ったほうが扱いやすいことを想像していただくと、わかりやすいでしょう。
短く握ることのデメリットをあえて挙げるとすれば、ヘッドを軽く感じるために、手でヘッドを先に出してしまうゴルファーなどには逆に難しく感じる可能性もあります。
田辺プロのスイングの特徴としては、ダウンスイングから左足へのシフトは少なく、一瞬ガニ股になり骨盤がその場で旋回していきます。特にインパクト前に左ヒザが伸びていることから、切り返しで左足をしっかり踏み込んでいることが読み取れます。
横にスライドして間延びしてしまうより、地面反力をしっかり使い、骨盤をその場で旋回させるほうが体の使い方の効率はよく、回転スピードを上げやすい。田辺プロがこれだけクラブを短く握っても、飛ばし屋である理由がここにあると思います。クラブの扱いも上手く、かつ体も効率のいい使い方をしているわけですから、今シーズンも活躍が期待できるのではないでしょうか。
■解説/森守洋
もり・もりひろ 1977年2月27日静岡県生まれ。ゴルフを始めたのは高校から。95年に渡米しミニツアーを転戦しながらゴルフを学んだ。帰国後は『ダウンブローの神様』と呼ばれた陳清波に師事。02年からレッスン活動を開始し、現在は原江里菜、堀琴音、香妻陣一朗のコーチを務めている。東京都三鷹市にある『東京ゴルフスタジオ』を主宰し、アマチュアへのレッスンも行う。
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