国内女子ツアーの新シーズン開幕まで、残すところあと1カ月ほど。試合がないのは寂しい限りだが、オフのトレーニング情報などから、どんなシーズンになるのかと思いを巡らせる楽しい時期でもある。そこで2020-21年シーズンの数字を参考にしながら、色々なスタッツで注目すべき選手を紹介。今季産休明けから復帰する大西葵の兄で、青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏に今季の女子ツアーの行方を予想してもらった。今回はリカバリー率。
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パーオン率、平均ストロークなど昨シーズン数多くのスタッツで1位に入った稲見萌寧選手ですが、注目してほしいのはリカバリー率です。山下美夢有選手に続く2位に入っている。実は稲見選手は取りこぼしがないんだよ、ということをここで伝えたいですね。
ショット力は言わずもがなですが、それ故にピンをデッドに攻めていく場面も多く、グリーンを外したときはそう簡単ではないアプローチが残ることも少なくありません。そこでスコアを崩さないうまさがあるんです。
稲見選手は申ジエ選手のように数多くのバリエーションがあるタイプではありません。アプローチはオーソドックスで、打ち方は基本的に一緒で、番手だけ変える。アマチュアの皆さんも真似しやすいと思いますので、ぜひ一度見てください。
とにかくヘッド軌道がとてもきれいなんです。なぜなら、アドレスした時のグリップエンドがおへそを差している距離が最後まで変わらないからです。これが手打ちになったり、手が動かないとアプローチの距離感が変わってしまいます。だから、どんなに悪いライからでも寄せられる。クラブが抜けたり強く入ったりがないんですよね。
さらにバンスを使うのが非常にうまい。ボールだけにコンタクトしているわけではなく、ソールを滑らせて、プラスバンスを使って打てているので、芝が薄くても逆目でもいろんなシチュエーションに対応できる。だから春先も強いし、季節で得意不得意がない。稲見選手は本当にボギーを打たないイメージです。
そしてボールがフェースに食いつく。だから、出球がゆっくりに見えます。スピンのかかりすぎも、かからないということもない。縦距離も一定なんです。
パターの延長で打てていると言えるでしょう。だからチップインも狙っていける。ぜひ、今年はショットだけでなくアプローチにも注目してみてください!
【20-21年リカバリー率トップ10】
1位:山下美夢有 70.0127%
2位:稲見萌寧 69.5431%
3位:古江彩佳 69.0748%
4位:西村優菜 67.9157%
5位:申ジエ 67.4419%
6位:林菜乃子 67.2032%
7位:小祝さくら 66.4663%
8位:菊地絵理香 66.3212%
9位:上田桃子 65.9489%
10位:吉田優利 65.618%
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。
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