かつては国内男子ツアーのツアーメンバーだったオーストラリア人、マイケル“トモヤ”スミス氏。プレーヤーからインストラクターに転身後は、オーストラリアでジュニアシステムのマネージャーになり、ジュニア育成プログラムを作った。そして、6年前に再び来日し、いまは日本の子どもたちにゴルフの楽しさを教えている。どうしてあなたは日本に?
「Hello(ハロー)!」という元気な子どものあいさつに「Hi(ハーイ)!」とフレンドリーに応えるマイケルコーチ。夕方5時にジュニアレッスンがスタートすると、一風変わったグッズを手を変え品を変え繰り出して、ゲームを交えながら楽しくゴルフを教えている。
自身は英語と日本語を操るバイリンガルだが、冒頭のあいさつのように英会話の“レッスン”もミックスしているのだ。そして1時間のプログラムが終わると、ジュニアたちは自分の道具だけでなく、身の回りのグッズを誰に言われることなく率先して片付けていた――。
横浜市・日吉の閑静な住宅街にあるゴルフ練習場「梅里カントリークラブ」。マイケルコーチはここで、毎週2回(水曜クラス4人、金曜クラス4人)、1時間のジュニアレッスンを行っている。その人気ゆえに、今や順番待ちの状態だ。
「子どもたちは一人ひとり、体力、感覚、考え方、取り組み方などが違うので、それぞれの個性に適したアプローチやメニューで教えています。ジュニアのみんなが、ゴルフをエンジョイしながらスキルアップしてもらいたいですね」(マイケルコーチ、以下同)
1976年生まれ、オーストラリア出身のマイケル“トモヤ”スミス。母は日本人、父はオーストラリア人のミックスだ。自身も子どものころからゴルフに親しみ競技で勝ち、プロに転向してオーストラリアツアーへ参戦した。1998年にアメリカへ渡り、ミニツアーを転戦。その後、2002年には母親の祖国・日本に来日して、JGTOのツアープレーヤーとなり、千葉県のゴルフ場でアドバイザリースタッフになる。
「そのときは日本語をゼンゼン喋れなくて……“コンニチワ”くらい(笑)。でもそこからガンバって覚えました」
2007年には横峯さくらの父・良郎さんが主宰する「さくらゴルフアカデミー」(鹿児島)のヘッドプロとなり、ジュニア時代の出水田大二郎や池村寛世を教えていた。2009〜2014年は母国オーストラリアでペリスGCのヘッドプロに。ジュニアのインストラクターとしてのキャリアは20数年に及び、大人のゴルファーよりジュニアを教えた経験のほうが多いとか。ちなみに、TPI(タイトリスト パフォーマンス インスティテュート)は「レベル1」と「レベル2 ジュニア」の資格を持つ。
「オーストラリアのコースではジュニアシステムのマネージャーになり、ジュニアの育成プログラムを作りました。コース対抗のチーム戦では、そのジュニアチームが20年ぶりにファイナル(決勝戦)まで行ったんです。そこではスポンサーもついて素晴らしいジュニアの育成システムがありましたが、やっぱり日本が好きだし、ボクなりに(日本の)ジュニアのシステムを変えられるかなと思って、2014年の後半に再び来日しました」
それからはずっと日本にいて、大人とともにジュニアのレッスンを続けている。6年前には、自身の40歳の誕生日に日本人の女性と結婚した。
「ジュニアのコーチが指導法について聞きに来ると、ボクは時間を作ってアドバイスするようにしています。お金がどうこうじゃありません。ボク自身、ティーチングのノウハウはしっかりと持っていると思いますが、常にレベルアップしたいし、ジュニアのレッスンをもっとやりたい。いま足りないことはないか、もっと違うことができないか。決して『オレはこうなんだ。何でも分かっている』と決めつけず、新しいアイディアを模索し続けているし、ティーチングのさらなるスキルアップのために日々、努めています」(取材・文/新井田聡)
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