<PGAシニアツアー予選会・最終予選 2日目◇3日◇トム・ワトソンゴルフコース(宮崎県)◇6741ヤード・パー72>
見事なカムバックだった。初日6オーバー・65位タイと出遅れたシニア2年目の野上貴夫が、南崎次郎と並ぶこの日のベストスコアタイの2アンダー「70」でラウンド。トータル4オーバー・13位タイに順位を上げ、今年の国内シニア出場権獲得に近づいた。
この日のアンダーパーはわずかに4人。難コースで前日のゴルフが嘘のように6つのバーディ(2ボギー・1ダブルボギー)を奪った。「初日は大事にいきすぎてしまうんですよね。体がいつもと違う動きをしたり。今日は開き直りました」。
セーフティに攻めすぎた面もあるが、前日は強風もありスイングリズムが速くなっていたことでショットの精度を欠いた。ラウンド後はリズムに気がつき、この日は「ゆっくり振る」ことを心掛けるとショットが改善された。開き直ってピンを攻めた結果、“ビッグスコア”をたたき出した。
野上は国内男子ツアー1勝を挙げるなど、2000年代前半にシード選手として活躍。シニア1年目の昨年は、予選会の順位が35位だったこともあり、国内シニアの出場は6試合にとどまり、賞金ランキングは90位。
2年目の今年、熱意をもって最終予選に臨んでいる。昨年の国内シニアの「ファンケルクラシック」に出場したときのこと。永久シード選手のレジェンド、中嶋常幸に掛けられた言葉に発奮した。
「『シニアは55歳までに活躍しないと通用しねーぞ』っていわれました」。昨年は細川和彦や丸山大輔、宮瀬博文らがシードを獲得し、ここ数年は50歳になってすぐ活躍する選手が増えていることに加え、「年を取ると体の衰えがすごく出てきます。今も目が見えにくくなっているし、腰も痛いし…。そこらへんのケアも欠かせないですからね。中嶋さんにいわれた言葉が響いて今年の冬は、ちょっと練習しましたよ」。このオフはここ数年にないいい状態で仕上がっていたという。
レギュラーツアーのシード権を手放してから13年。「ここまで支えてくれたスポンサーの方に恩返しをする意味でも、シニアで結果を出して恩返ししたい」。まずはあす1日で10位以内に入るのが目標となる。(文・小高拓)
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