全ショットが映像で記録されたはずのザ・プレーヤーズ選手権だが、テクノロジーも解決には至らなかった。
ダニエル・バーガー(米国・28歳)は通算7アンダーで16番パー5を迎えた。この時点ではトップと4打差、まだまだ優勝争いの禍中だった。
フェアウェイセンター、ピンまで234ヤードのセカンドショットは右に曲がってあえなく池へ、一罰打のドロップとなった。
だが、バーガーがグリーン右前の30〜40ヤードにドロップしようとすると、同伴競技者のビクトル・ホブラン(ノルウェー・24歳)が待ったをかけた。
「最後に池を横切ったのはそこじゃない。もっとグリーンから遠い」と主張した。もう一人の同伴競技者のジョエル・ダーメン(米国)もホブランに近い位置を示し、すぐさま競技委員とビデオを確認することで同意した。
ルールオフィシャルのゲーリー・ヤング氏が呼ばれたが、最終的には選手たちの同意に委ねられた。それはビデオを見ても確認できず、横切った場所は見ていたアングルによるからだ。
「そのグリーンに近い場所にドロップすることには同意できない。そこは僕が見た場所ではない」と激しく訴えるホブランと論争はエスカレートした。
最終的にバーガーはかなり後方に下がってドロップを選択、しかしながらバーガーは「ここにドロップするのは君たちの意見に従うだけ。だけどこのドロップは間違っている」と最後までドロップエリアには納得しなかった。
4打目を3メートル強につけたバーガーは、このパーパットが入らずボギーで後退、トータル6アンダーの13位で終えた。
プレー終了後には「ドロップした場所は100%正しい選択だと思っている。ただ僕はもっとグリーンに近いと信じている。だが、この選択は正しい。もう問題は解決した」ときっぱり、納得の表情だった。
ホブランは「僕たちはプロフェッショナル。誰もダニエルを困らせようとしたわけではない。僕たちは出場選手を守らなければならない」とこちらもきっぱり。ただ「ボールは数秒以上高く飛んでいた。どこで横切ったかをピンポイントで示すのは難しい…」と付け加えた。(文・武川玲子=米国在住)
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