<Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 事前情報◇17日◇鹿児島高牧CC(鹿児島県)◇6419ヤード・パー72>
福島県いわき市出身で、高校2年生のときに東日本大震災を経験した岸部桃子。3月11日が初日だった先週の「明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント」では、初日から好調なすべり出しをみせて最終日にツアーベストスコア「67」をマーク。7位タイで終えたが、今週も気がかりで不安になる出来事が起きてしまった。
16日(水)深夜、宮城県と福島県で最大震度6強の地震が観測された。この地震の情報は、鹿児島県にいる岸部にもすぐ届いた。「あさニュースを見て驚きました。両親に連絡しました」。すぐに電話し“大丈夫”と安否が確認できたことは幸いだった。
11年前は、授業中に地震におそわれた。自宅は全壊。高校が原発の近くだったこともあり、その後はいわき市内の別の高校に設けられたサテライト校のひとつで学んだ。「(ニュースをみてその当時が)よみがえりました。これ以上(被害が)広がらないでほしい」と鹿児島から願いを込めた。
今季QTランキング22位での参戦で、今シーズンの初戦はレギュラーツアーで迎えた。開幕戦も予選を通過し、18位でフィニッシュするなど好調をみせている。統合となった2020-21年シーズンの獲得賞金額の半分以上を、この2戦で稼いだ。それでも「まだ2試合しか終わっていないので…」と謙虚さを忘れない。
「(先週の7位は)自信になりましたし、今週はコーチがキャディなので心強いです」。今大会は開幕戦に続いて、コーチである横田英治がキャディを務めるという。ステップ・アップ・ツアーは2勝しているものの、レギュラーツアーは未勝利。「ゴルフができることに感謝しよう、恩返しの意味でも頑張ろうと思います」。まずは3戦連続の予選通過、そして上位フィニッシュに向けて気合を入れた。
もう一人、同じいわき市出身で、不安な気持ちとともに夜を過ごしたのが酒井美紀。「ちょうど母と電話しているときだった。電話越しにサイレンの音がずっと聞こえてきた。昨日は眠れなかった」とその時の気持ちを吐露した。
こちらは岸部と対照的に、開幕から2戦連続予選落ちと苦しい出だし。昨年から抱える腰椎分離症の痛みもあり、不安も大きい。それでも前を向く。「わたしが頑張ることで、少しでもいいニュースを届けたいです」。地元で応援してくれている家族やファンのためにも、精一杯プレーすることを2人の“東北人”が誓った。
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