国内女子ツアーから約1カ月遅れて、国内男子ツアーが来週の「東建ホームメイトカップ」で開幕を迎える。その翌週には国内シニアツアーも沖縄で開幕。今年もレギュラー、シニア両ツアーで活躍が期待されるのが、プロ31年目を迎える54歳の谷口徹だ。独自に磨き上げたショット力とショートゲームの上手さで、レギュラーツアー通算20勝、シニアツアー通算2勝を誇る。そんな谷口のスイングを、プロコーチの石井忍に解説してもらおう。
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谷口さんはアドレスの時点でインパクトの形をイメージしたハンドファースト。このまま腰を回せばインパクトできそうな感じです。いかにも打ちますよといった谷口さんのアドレスは、インパクトの再現性が高くなるので非常に良いと思います。
テークバックではヘッドを先行させて上げていきますけど、決して手上げではない。手首のコッキングが早いからそう見えるだけで、胸板はしっかり右に回っています。さらにバックスイングでの特徴がもう1つ。早めに右ヒジをたたむので、トップはコンパクトになりやすい。手首の運動量が多いからヘッド自体も大きく動いていますけど、腕の使い方は非常にコンパクトです。
この動きは『ショートアーム』というんですけど、世界ランキング1位のジョン・ラームが代表的。早めにコックして右ヒジを曲げると、トップの位置が小さくなりやすいのです。スイングは全然違いますけど、仕組み的には一緒。これもスイングの再現性を高めるポイントの1つです。
そして、谷口さんの切り返しに注目すると、体の軸がまったく右に倒れていません。体の右サイドの高さを維持することで体勢がしっかりして、振りやすくなりますし、ミート率が上がります。当然、クラブからボールへのエネルギー効率も高いのでボールが飛びます。
エネルギーをしっかり伝えるという意味では、インパクトからフォローにかけて、左腕がしっかり伸びているのも見逃せません。これは左肩をしっかり後方に回せているからできる動き。ここで左ヒジが曲がって抜けてしまう人は、どんどん左肩を回していくといいですね。
谷口さんが思いきって左に回していけるのは、右足を後ろに引いたクローズスタンスにも秘密があります。良い意味で制限がかかるので、体が開きすぎない。スライスに悩んでいるアマチュアも少しクローズに構えてボールを中に置いて、思い切って左サイドを回転していくと、つかまったボールが打てるようになりますよ。
■解説・石井忍
いしい・しのぶ 1974年生まれ。千葉県出身。98年にプロ転向し、かつてはツアープレーヤーとしてレギュラーツアーに出ていた。現在は『エースゴルフクラブ』を主宰し、プロゴルファーやアマチュアの指導を行うほか、解説者としても人気を博す。
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