<ヤマハレディースオープン葛城 事前情報◇29日◇葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡県)◇6590ヤード・パー72>
昨年の5月に右足太モモを負傷。それ以後、精彩を欠いていた有村智恵の瞳に燃える炎がゆらめいていた。3月31日(木)に開幕する「ヤマハレディースオープン葛城」の練習日、会見の場に現れた有村の表情は明るかった。
「実はオフはほとんどボールを打てていませんでした。今シーズンは様子を見る感じでのツアー開幕でしたが、いい状態でやれています。優勝が少し見えてくる気持ちになってきました」と、有村。
右足太モモの痛みはまだあり、正直にいえば完治はしていない。「(右足を)かばってしまっていますが、対処の方法はある。スイングに支障はありません」という。右足にしっかり乗ることができないのだが、経験豊富な有村は対応策を心得ている。「自分の感触はよくなってきています。葛城ゴルフ倶楽部は難しいコースなので緊張感が高まっていますが、いい状態に仕上がっています」と話した。
そんな有村の前に立ちはだかっているのは、今季4戦中2勝を挙げている西郷真央をはじめとする次世代群。有村自身はどう見ているのだろうか?
「今のゴルフ界を見ていると、若い子たちのほうがクラブをうまく使っているように思います。進化するクラブに順応している。私のほうが勉強をさせてもらっています」と、なんでも吸収しようとする姿勢を見せる。向上心の塊。だから有村は強い。それを思い出させてくれた。
さて、有村といえば、昨年の暮れに結婚を発表している。結婚が選手生活にどう影響しているのかも気になるところだ。
「実は先々週にようやく引っ越しをしました。夫婦で新居に泊まったのがまだ数日しかないので、実感がないんです」というが、実は洗濯や掃除などをご主人がやってくれるので「アスリートとしてはとても助かります。その支えに応えられればと思っています」と、少しだけ本音も漏らした。
ガムシャラに勝利に向かって突っ走っていた若き頃とは少し違う有村智恵が、そこにはいた。自分の周囲のすべてを吸収して、強いゴルフを作りあげてゆく姿があった。ホステスプロとして臨む今大会。有村が復活を証明するような活躍を見せることを期待してやまない。(文・河合昌浩)
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