<オーガスタナショナル女子アマチュア(予選) 3日目◇1日◇チャンピオンズ・リトリートGC(米ジョージア州)◇6410ヤード・パー72>
最終9番ホールでパーパットを決めた瞬間、笑顔を浮かべた吉田鈴は、すぐに左胸に手を当て、ホッとしたような表情を見せた。トータル4オーバー・16位タイで予選を通過。決勝ラウンドが行われるオーガスタ・ナショナルGCでプレーできるよろこびを噛みしめつつも、「ここからが勝負」と顔を引き締めた。
前日は荒天の影響でスタートが7時間半遅れ。インスタートだった吉田は、後半の3番で日没サスペンデッドを告げるホーンを聞いた。本来なら空き日に設定されていた金曜日に急きょ行われることになった“3日目”のラウンド。それを徹底的に耐え抜いた。
多くの時間を予選カットライン上で過ごすシビアな状況で、何度も入れごろ・外しごろのパーパットをねじ込み続けた。終盤の8番パー3では、カットラインを1打上回っていたものの、右に切られたピンの逆サイドにボールが落ち、下りの20メートルを残す、3パットでもおかしくないピンチを招いた。だがこれを2メートルまで寄せると、ここでもしびれるパットを沈める。これがオーガスタに大きく近づく、重要な1プレーとなった。
「バーディは獲れないと分かってたので、ボギーを打たないことを徹底しました。頭を使うし精神的に疲れました」。インから出た前日は3つ叩いたボギーも、この日はゼロ。それでも涼しい顔でパーを積み重ね続けた。とはいえ、「ミドルパットに助けられている。タッチを合わせないと」と、楽にパーを奪えなかった展開には反省の言葉も出た。
ラウンドを終えるとオーガスタに移動し、18ホールの練習ラウンド。海外メジャー「マスターズ」が行われるコースを堪能した。「すごいキレイでした」とその景観を楽しみつつも、16番パー3ではユーティリティで水切りショットに挑み、成功。遊び心も持ちながら、ピン位置など確認し翌日に備えた。クラブハウスに戻ったのは、午後6時30分頃。日が長くまだ青空が見えるなか、心地よい疲れを感じながらの長い一日が終わった。
そして2度目のオーガスタのラウンドを迎える。首位とはわずかに4打差。「ワンチャン(逆転も)あるかな。とにかく攻めます。きょう荒れ気味だったショットでチャンスにつけられれば」。 まだ粗削りなこの年代の選手の大会は、一日で大きくスコアも変動するだけに、何が起こるか分からない。ハラハラドキドキの予選ラウンドを乗り越え、いざ聖地へ。昨年は同学年の梶谷翼が優勝しているだけに、それに続く日本勢連覇で“オーガスタ世代”を印象づけたい。(文・間宮輝憲)
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