今年、86回目を迎える“春の祭典”「マスターズ」。名門中の名門オーガスタ・ナショナルGCが舞台になる大会は、ルールや雰囲気が他の会場では決して味わえないものも多い。現地で“ここがすごい!”と感じたものを紹介する。
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やっぱり規模が別格だなと思ったのが、ギャラリーの数。コロナ禍の影響で11月の開催となった2020年大会は無観客開催、松山英樹が優勝した昨年は1日最大5000人までという制限が設けられたが、今年は上限なしに戻った。
「オーガスタナショナル女子アマ」の決勝ラウンドが行われた3日(日)の時点ですでに多くの人々がコースに集まり、グッズショップも長蛇の列ができていた。さらに“本格オープン”の4日(月)になると、とても練習日とは思えない数のギャラリーが詰めかけ、目を丸くするしかなかった。普通に歩くのも一苦労。選手のプレーを見るためコースを歩く人、練習場でその様子を眺める人、芝生のうえでのんびりとサンドイッチをほおばる人…時間の過ごし方はそれぞれだ。
さらにこの月曜日は、そこに居た人々が大興奮するできごとも起こった。昨年2月の自動車事故で右脚に重傷を負ったタイガー・ウッズ(米国)が、ラウンドしたのだ。時折聞こえる大歓声は、何かの爆発音かと思うほど。プレーするたびに拍手が送られ、繰り返しにはなるが、これが練習ラウンドということを疑うほどの盛り上がりとなった。
開幕前からこれだと…本戦は一体どうなっちゃうの? コースまでの道も、早朝から渋滞を起こすほど。今年1月の「ラテンアメリカ・アマチュア選手権」で優勝し、出場権を獲得したケイマン諸島出身のアマチュア、A・ジャービスは、会見で「島の人口よりも人が多い」と言って報道陣の笑いを誘ったが、これも決して言い過ぎではない気がしてしまう。この国のマスターズ人気、そして“ゴルフの祭典”と呼ばれる所以を肌で感じる光景だ。(文・間宮輝憲)
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