今年、86回目を迎える“春の祭典”「マスターズ」。名門中の名門オーガスタ・ナショナルGCが舞台になる大会は、ルールや雰囲気が他の会場では決して味わえないものも多い。現地で“ここがすごい!”と感じたものを紹介する。
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ついにマスターズが開幕! それを告げる恒例行事に『オナラリースタート』がある。いわば始球式。1963年に初めて行われ、大会名物イベントの一つだ。初日の第1組がティオフする前に、歴代優勝者3人が1番でティショットを放ち、これが号砲となる。
今年はマスターズ3勝で86歳のゲーリー・プレーヤー(南アフリカ)、同6勝で82歳のジャック・二クラス(米国)と、新たに加わった同2勝で72歳のトム・ワトソン(米国)が役目を担った。小雨のなか式典がスタート。オーガスタの開幕、さらにレジェンドの登場で厳かな雰囲気になるのかなと思っていたが、これがまるでコメディのようだった。
“オナー”はプレーヤー。いまだにトレーニングを続けている脅威の86歳は、ドライバーの弾道に年齢を感じさせない。さらにスイングの後、カンフーのようなキックを繰り出しパトロンを盛り上げた。続いて登場した二クラスは、ゆっくりとした足取りで、ティをさしボールをセットすると「あぁできた。よかった」。これでまた一笑いだ。
最後に登場した一番の年少者ワトソンは、「これは何か言わないといけない?」とつぶやいた後、「ゲーリー、ジャック、ジーン・サラゼン、サム・スニードら数々の名選手が務めてきたここに立てて光栄だ」と、しっとりと挨拶。ただティショット後には、プレーヤーを意識したような動きをして、笑いを誘うことも忘れなかった。
伝統行事、さらに歴史に名を残す選手を目の前で見られたことも感激だったが、何よりも驚いたのがその後に聞いた言葉。オナラリースタートの後、3人そろっての会見が開かれたのだが、そこでプレーヤーが「僕はもう2000回以上連続でエージシュートを達成しているよ」という自慢を披露していた。式典で見せた、あのスイングも納得。やっぱりマスターズチャンピオンはすごい!(文・間宮輝憲)
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