<RBCヘリテージ 3日目◇16日◇ハーバータウンGL(米サウスカロライナ州)◇7121ヤード・パー71>
『怒り』はときにプレーに勢いとなるのかもしれない。ハロルド・バーナーIII(米国)はムービングデーの土曜日に8バーディ・ボギーなしの「63」をマーク。単独首位に踊り出た。
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「いつもは嫌な出来事をすぐに忘れることができるんだが、どうやら今回は忘れられなかったようだ」とバーナー。その“怒り”の要因は前日のラウンドに遡る。
6番パー4でバーナーのティショットは右のクリーク方向へ。なかなかボールが見つからずに近くに居た男性にも手伝いを依頼した。
その男性がバーナーのボールを見つけることに成功、しかしバーナーのボールであることを確認するために拾い上げ、もとに戻すときにわずかに位置が違っていた。その結果、OBラインをわずかに超えて、ルールオフィシャルがOBと判定した。
その様子はPGAツアー・ライブが捉えていて「男性の戻した位置がわずかに違う」と主張したが、判定は覆らなかった。バーナーは結局ティショットを打ち直し、「6」のダブルボギーで後退、8番パー4もボギーとすると「72」の1オーバーのラウンドとなった。
「僕は判定にとてもアンハッピーだった。ルールは選手を守るためにあるはずなのに…。だけど今思えばとても良い結果となった。きょうはコースに出るまでまだ怒り心頭だった」とバーナー。
その怒りはプレーの勢いとなり、2番パー5で1.5メートルにつけてバーディを先行させると、4番パー3も3メートルを決めて、ここから3連続バーディ。距離の短い9番パー4はティショットをグリーンサイドのバンカーまで運び、ここから1.3メートルにつけて前半は5つ伸ばした。後半も12番、15番、16番と3つのバーディを奪うと、「63」の好プレーにつなげた。
風もあり狭いコースはバーナーの得意なコースではない。「どのホールもティショットがとても怖い。たぶん僕はすべてのホールでOBにしたことがあるよ」と笑う。「去年は1番のスタートホールでOBだった。だけどきょうは絶対どのチャンスもものにしようと踏ん張った。この怒りが明日も続けば…」。
1打差2位にはシェーン・ローリー(アイルランド)、パトリック・キャントレー(米国)らビッグネームが続く中、怒りを力に変えた31歳は、あすの最終日に米ツアー初優勝に挑む。(文・武川玲子=米国在住)
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