米男子ツアー「RBCヘリテージ」で、プレーオフを制してツアー13勝目を挙げたジョーダン・スピース(米国)。最終日は首位と3打差の9位からスタートしたが、2つのイーグルを奪って「66」をマークしトータル13アンダーまで伸ばすと、クラブハウスリーダーでホールアウトした。
たくさんの子供たちがサインを求めてスピースのことを待っていたが、対応してあげられない事情があった。「僕はまだ待たなければならないんだ。プレーオフになるかもしれないからね」と自ら大声で子供たちに説明し、続けて「だから今はサインはできないけれど、もし誰か他の選手が勝っても僕は必ずここに戻って来るから」と言って立ち去った。
最終組がホールアウトするまで約50分。そしてパトリック・キャントレー(米国)をプレーオフで退け、スピースは勝利を手にする。それから表彰式などを行ってから、赤いチェックのウイニングジャケットを着たスピースは約束通り、子供たちのところに戻って来た。
大喜びの子供たちは「ジョーダン・スピース!ジョーダン・スピース!」とスピースコールが止まらない。人気者のスピースは、一人一人に丁寧にサインをしたり、写真を撮ったりと喜びを分かち合った。
その様子はPGAツアーがツイッターに投稿している。ある少年は「2時間も待っていた。でも待っていてよかった」と嬉しそうにインタビューに応えた。
同大会の近くで育ったブライアン・ハーマン(米国)は、「ずっと子供の頃からこの大会を観てきた。観戦に来たとき、ブラッド・ファクソン(米国)が一度僕にボールを投げてくれたことがあった。僕は11歳だった」と振り返った。スピースを待っていた子供たちの中に、未来のPGAツアー選手がいるのかもしれない。(文・武川玲子=米国在住)
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