<フジサンケイレディスクラシック 最終日◇24日◇川奈ホテルゴルフコース 富士コース(静岡県)◇6447ヤード・パー71>
何度も何度も跳ね返されてきた“優勝”の2文字を、雨の川奈でしっかりとその手につかんだ。10度目となる最終日最終組でのプレーで高橋彩華が5バーディ・3ボギーと伸ばし、トータル12アンダーでホールアウト。3日間、単独トップの座を譲らない完全勝利で悲願の初優勝を挙げた。
初日に大会コースレコードタイ記録となる「63」をマークするロケットスタート。ただ4打あった差は、2日目終了時には1打まで減っていた。さらに「緊張していた」というなか迎えた最終日はスタートから連続ボギーを叩く展開に。それでも3、4番と立て続けにバーディを奪い、すぐに取り戻した。
ここは「いつもの崩れる流れかな、と思ったんですけど、気持ちを切らさずに、そのあとOKバーディが獲れた。いつもとは違うな、と。緊張はなくなって、自分らしいショットもできました」と振り返る重要な部分。これまで見せた“もろさ”は感じさせない。
ただ5番でも1つスコアを落とし、一時はトップから陥落する時間も味わった。それでもツアー屈指と言われるショット力を勝負所で発揮。サンデーバックナインに3つのバーディをマークし、ライバルたちを突き放した。
2016年の「日本女子アマチュア選手権」などの実績を引っ提げ、2度目の受験となった18年のプロテストに合格。翌年にはシード入りも果たし、優勝争いに何度も顔を出したが勝ちきれなかった。単独首位で最終日最終組入りを果たした今大会2日目終了後には、「今までは出ないオバケを怖がっていた」とこれまでの優勝争い時の心境を独特に表現したが、「きょうは今までよりも落ち着いてゴルフができました」とやっと“幻想”を払拭することができた。
最後20センチのウイニングパットを決めると、両手を突き上げたが、すぐにその手で涙を拭った。そしてグリーンサイドで待っていた大里桃子、同組だった木下彩ら同学年の選手と喜びを分かち合う。先週の植竹希望に続き、2週連続で1998年度生まれの黄金世代が勝利。同世代11人目の初優勝者となった。
インタビュー中も終始、涙声。さらに表彰式でも、「ずっと勝てない時も支えてくれた両親に感謝しかないです」と一番身近な人に思いを伝える時には言葉を震わせた。バックに広がる太平洋から吹く潮風も相まって、初めての優勝の味は塩っ辛いものになった。
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