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山崎泰宏が死を前に到達した境地 「家族の負担を考えたら、死ななきゃと思った」【心筋梗塞からのフルスイング】

昨年4月にドラコン大会の会場で心筋梗塞を発症したドラコンプロの山崎泰宏は、手術により一命をとりとめ、その後、ドラコンプロとして現役復帰を果たす。誰もが不可能と考えた山崎の復活劇を追ったドキュメント。
今回のトピックは、『死ぬときに考えたこと』。
「人生で最後に食べるものは何にするか」といった軽めの話も含め、死ぬ前に何をしたり考えたりするのだろうかということは、誰もが一度は想像したことがあるだろう。思い出が走馬灯のように駆け巡るとか、枕元に集まった家族にお蔭で良い人生だったと感謝するとか、そんなドラマ仕立てのようなことが果たしてあるのかないのか。実際に死んだ人からそれを聞くことはできないが、山崎泰宏のように一度は死を覚悟したという者からなら、死を目前にしたときに人は何を考えるのかについての話を聞くことができるだろう。
事実、山崎は急性心筋梗塞を発症後に痛みを我慢して病院到着までに12時間もかけてしまったために、その時点で心筋にかなり広範囲なダメージ(壊死)を生じていた。それで手術を前に担当医の宇部興産中央病院の濱田頼臣医師から「手術中に亡くなる可能性もあるが、手術を希望しますか」と訊かれた。要するに、手術をしなければ死ぬし、手術をしてもその途中で死ぬかもしれないということで、それほど厳しい状態だったということだ。
山崎は、自分が死ぬかもしれないという現実を突きつけられたこと時に、何を考えたのだろう。
「最初に思ったのは、このまま死んでしまったら、かみさんとか子供とかに伝えたいこととかあるじゃないですか、それが出来なくなってしまうから。でも、もし手術をして一日でも一週間でも生きられるなら、伝えることもできる。そう思って、『お願いします』と言いました。生きたいという命乞いではなかったですね」。
そのときに、死への恐怖のようなものはなかったのだろうか。
「怖さというものはなかったけれど、発作が起きて、それを我慢してしまったことへの後悔の方が大きかったですね。なんでもっと早く病院に来なかったのか、そうすれば助かったかもしれないのにと思ったら、ちょっと切なかったですね。次に思ったのは、かみさんや娘に申し訳ないなっていう気持ちです。娘はまだ中学生だったので、もし自分が死んだらこれから先は、かみさんは女手一つで育てていかないといけないから、大変だろうな、申し訳ないという気持ちが強かったです」。
この発言からもわかるように、“死に行く身”の山崎が考えたのは、最愛の家族のことだった。恐らく、いつの日か死を迎える多くの人たちも、やはり山崎と同じような想いに駆られることであろう。
しかし、それにしては不思議なことに、山崎は手術前の“最後の電話”のときに、家族にこう告げているのである。
「(病院には)来なくてもいいと言ったんですよ。来ても窓越しにしか会えないし、手術が成功したとしても集中治療室での治療が続く限りは話すこともままならないだろうし。それでまた長野に戻って、すぐに山口までくるなんていうのは大変だし。よく死に際に、『お前たちと一緒に過ごせて良かった、ありがとう』とか言うのをドラマで見るけれど、そういうことは一切言わなかったですね」。
手術が成功した後も山崎は家族を病院に呼ぶことはなく、入院中の連絡は携帯電話で行ったという。
「本当は禁じられていたんだけれど、寝る前にかみさんと娘にテレビ電話やラインで連絡をとっていました。『死ぬかもしれない』と言われたものだから、電話のたびに『パパ、大丈夫? 大丈夫?』って言っていましたね。でも俺からは、いつまでにお金を下ろさないといけないとか、住宅ローンが残っているけど俺が死んだらチャラになるから心配するなとか、土地の権利書の場所とか、そういうことばかりをかみさんに言っていました」
山崎が家族に対して、感傷的にならずに現実的なことばかりを話したのは、死をも覚悟したこの入院中に、自分と家族というものについて深く考えることがあったからだという。
「よく『生きてるだけで丸儲け』なんて言いますよね。でも、生きてるだけで一円も稼げないなら、丸儲けにはならないです。手術が成功して、数日経ったときに、先生に言ったんですよ。もし心臓の状態が酷くてこのまま寝たきりになるようなことになるなら教えてくれと。動けるうちにどこかに行って死にたいからって。もし寝たきりで年間何百万円もかかるようになったらかかるとしたら、娘の人生、かみさんの人生を奪うことになってしまう。それなら死んで生命保険でお金が下り家族に幸せを与えられるだろうから、家族の負担を考えたら、死ななきゃと思ったんですよ」。
もちろん、山崎が家族の負担にならないために自殺をしたとしたら、家族は嘆くだろう。しかし、一度死ぬことを覚悟して、自分にとって本当に大事なものは何なのかということを考えたときに、それは残された家族の幸せだと思った山崎は、そういう気持ちになるのだろう。
「せっかく生きて戻れた残された人生は、やりたいようにやろうと思いました。何かを我慢してあと10年生きたとしても、そんなことをするために生き残ったわけじゃないんだから。だから先生たちからはダメだと言われたけど、トレーニングをやらせてほしいとお願いしたんです。退院したら、家族を養っていかないといけないので」
退院して約2カ月ぶりに長野の家に帰った山崎に、娘はすぐに抱きついてきて、妻はその上からハグをして、家族3人で喜びを分かち合った。妻は山崎の胸に耳を当て、「あ、動いているね」と言って心臓の音を確認した。山崎はいう。
「今、こうやって生きているから言えることだけど、死にかけて良かったと思いました。というのは、死にかけたことで家族に対する愛情は深まったんですよ。自分は死ぬんだと思ったときに考えたことは、死ぬときは独りなんだということ、そして残された人間に何が残るかといったら、その人から言われた言葉なんですよね。だからこれからはお互い、隠し事とか嘘とかそういうことは一切なしにして、お互いとことん話をしよう。思ったことはなんでも言葉に出して言い合えるようにしようと決めたんです」
死を前にして、思い出が走馬灯のように駆け巡るとか、枕元に集まった家族に感謝するというのは、自分を中心にした過去に対する思考である。しかし、山崎が死を前にして考えたのは、家族の将来の幸せを願う思考である。
フランスの思想家のジャック・アタリは、さまざまな問題を抱えるこの世界の行き詰った状況を変えるために、我々は『利他主義』的な行動をとるべきと主張する。彼は「深刻な危機に直面した今こそ『他者のために生きる』ことが重要である。協力は競争よりも価値があり、人類は1つであることを理解すべきだ。利他主義という理想への転換こそが、人類のサバイバルの鍵である」と言っている。そして、利他主義者になるためには、自分や周りの人間は「いつ死んでもおかしくないのだ」と認識し、死ぬまでの限られた時間を有効に活用し充実した人生を送るようにする。そして、他人に対して関心と共感を持ち、自分の幸福は他者の幸福に依存することを自覚することが大事なのだという。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックや、ロシアとウクライナの紛争が取り返しのつかない第三次世界大戦へと繋がる危機感が広がる中、このアタリの『利他主義』という考え方は世界に共感をもって広がりをみせている。
『利他主義』は山崎泰宏が死を前にして到達した家族に対する考え方やその境地に通じるものがないだろうか。人間は、家族や子供、そして人類が幸福に生き続けてくれることを考えて死んでいくのかもしれない。(取材・文/古屋雅章)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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