2001年9月11日、アメリカで起きた同時多発テロ事件で、3000近くの人々が亡くなった。そのテロリストの首謀者、オサマ・ビン・ラディンに加えて、ハイジャック犯のうち15人がサウジアラビア出身だった。
グレッグ・ノーマン率いる新リーグ「LIVゴルフ」は、そのサウジアラビア政府から巨額の資金が投入されている。
同時多発テロ事件で家族を失った人、また事件から生き残った人の「9.11家族会」が6月30日にオレゴン州ポートランド郊外で開幕するLIVゴルフに抗議するため、近くに集まり声を上げるという。
父親を亡くしたブレットさんは当時15歳。「LIVゴルフに参戦しているゴルファーは、いったいどういう人々と自分がビジネスをしているのか知って欲しい」と地元メディアに語っている。「出場選手たちは私たちになぜこのトーナメントに出場するのか、なぜサウジアラビアのマネーをもらっているのか、説明してほしい。彼らにサウジアラビアが9.11にどのように関わったのかをしっかりと教えたい」と話した。
「特にフィル・ミケルソン、ダスティン・ジョンソンらは子供たちにとって英雄。それが1億ドル(約135億円)を超える出場料を(サウジアラビアから)受け取っていることは耐えがたい」とした。
昨今のサウジアラビアはスポーツや文化に力を注いでいるが、それは「スポーツウォッシング」と呼ばれ、自らの評判を高めるためにスポーツを利用し、人権問題などから目をそらすことに使われているとされている。
今週はフレッド・カプルス(米国)率いる米国チームとアーニー・エルス(南アフリカ)が指揮する世界選抜チームによる、12人のプロアスリートのチーム戦が行われる。同時多発テロ事件が起きた場所、世界貿易センターの跡地“グランド・ゼロ”を臨む場所にコースはある。
カプルスはこう話す。「選手たちがLIVゴルフに去ったのは、お金をばらまかれたからだ。他に理由はない。それではゲームは良くならない。彼らは8〜10試合を戦うというが、どうやってゴルフを良くするつもりなんだ?」。
LIVゴルフで戦う選手たちに、彼らの声は届くだろうか?(文・武川玲子=米国在住)
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