最新ゴルフニュース

河本力が“震える”ウイニングパットを沈めて初優勝　姉・結へ「いい誕生日プレゼントになった」

＜Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント　最終日◇28日◇芥屋ゴルフ倶楽部（福岡県）◇7191ヤード・パー72＞
最終18番ホールでの約3メートルのウイニングパット。22歳のルーキー河本力はこれを沈めると、目をつぶって右のコブシを静かに突き上げた。優勝インタビューでは「プロになってから最終日最終組が初めてで、こんなに苦しい戦いとは知らなくて…素直にすごくうれしいです」と語った。
首位のイ・サンヒ（韓国）と1打差の2位でスタートした河本だったが、4、5番で連続ボギーとして後退。トーナメントは一時、大混戦の様相を呈した。しかし、続く6番パー5で本日最初のバーディを奪うと、9、10、12番でもバーディ。トータル16アンダーまで伸ばし、後続に3打差をつけて単独トップに立った。
だが、このまま簡単には逃げ切らせてもらえない。サンヒが13、14番のバーディで息を吹き返し、難関の16番でもバーディを奪うと、同じ16番で短いパーパットを外した河本とトータル15アンダーで並んだ。
トップタイのまま迎えた最終18番パー5では、サンヒのティショットは左のカート道に跳ねるトラブル。河本はフェアウェイをキープした。先に左のラフから2オンを狙ったサンヒのボールは、グリーン右手前のバンカーへ。河本はアイアンで2オンを狙える距離だったが、これを右プッシュする痛恨のミス。
河本の3打目。幸いにも前は開けていた。上にある木の枝を避けて、低い球で打ったアプローチをピンの手前3メートルに寄せた。サンヒの距離のあるバンカーショットはピンをオーバーして4メートルに。この返しのバーディパットは惜しくもカップの右フチをなめたが、入らず。
今大会最後の一打は河本のバーディパット。決めれば優勝だ。「すごく緊張して震えていました」という大きく右に曲がるスライスラインを見事に読み切り、河本に軍配が上がった。
グリーン脇では昨年まで在籍していた日体大の同期、石川航の姿が。河本が気づくと二人はしっかりと抱き合い、喜びを分かち合った。「おめでとうしか覚えてないですけど、一緒に喜んでくれてうれしいです」とはにかんだ。
3年前、姉の河本結がツアー初優勝を挙げたとき、河本はキャディとして隣にいた。そんな姉は最終日を前に、『楽しんで（ハートマーク）』と弟にメッセージを送っていた。そして、あす29日は、姉の24回目の誕生日。「いい誕生日プレゼントになったかなと思います。多分、きょうの夜会うので、いろいろ話したいと思います」と、特別な史上4組目の男女きょうだいツアー優勝となった。
そして、「今までサポートしてくれる人たちがいなかったら、この優勝はないので、感謝してもしきれないくらいですね」と話すと、183センチの大きな体を震わせた。涙があふれ出る。「まずはじめにお父さんとお母さんに電話したい」。その雄姿を見てたであろう両親に感謝を伝えた。
昨年のQTで失敗し今年は下部ツアーが主戦場だったが、主催者推薦のチャンスで得た大会最年少優勝によって、今後はレギュラーツアーにフル参戦できる。最後は「今シーズンはこれからどんどん試合に出させてもらうので、いずれはアメリカでメジャー優勝したいと思っている。ぜひ応援をお願いいたします」と涙でつまりながらも、将来の大きな目標をしっかり自分の言葉で伝えた。現在のドライビングディスタンスは平均323.75ヤードで堂々1位。この勝利によって、ワールドクラスの飛ばし屋が世界に飛び立つ日が近づいた。
<ゴルフ情報ALBA.Net>