<日本女子オープンゴルフ選手権 事前情報◇28日◇紫カントリークラブ すみれコース(千葉県)◇6839ヤード・パー72>
国内女子ツアーは、今季メジャー第3戦を迎える。2020年に男子のナショナルオープン「日本オープン」が開かれた千葉の名門コースを舞台に、“女子ゴルファーNo.1”という日本タイトルを手にするのは誰か―。青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める大西翔太氏が展望を語る。
■これぞ“ザ・メジャー”です
今年で55回目を迎える伝統ある一戦の舞台は千葉県の紫カントリークラブ すみれコース。総距離はツアー史上最長となる6839ヤードに設定され、10ホールあるパー4のうち400ヤード超えは6つ。最終18番パー5は日によってはティが後ろに下げられ、572ヤードのセッティングとなる。まさに“メジャー”だ。
さらに長さ80mm“以上”に設定されているラフは「場所によってはボールがまったく見えなくなってしまうことも。もしかしたらロストボールもあり得るのではないかというくらいです」とヘビー級。そして、コンパクションが24、スティンプメーターで11フィートという硬速に仕上げられているグリーンは「触るだけで下まで行ってしまうような速さ。強気のパットが仇になる、なんてこともありそうです」と選手たちの前に大きく立ちはだかる。
「昨年大会よりも難しくなっているのでは」とも付け加える今大会は、まずはフェアウェイキープが絶対条件。そして硬いグリーンでも止まる高いボールを打てることが重要に。そして4日間、全ホール、全ショットにおいて、気を抜くことのない最上のマネジメントが必要になってくる。
「しっかりとしたマネジメントができていないとすぐにダボがきてしまうようなセッティングです。普通の人だったら心が折れちゃうと思いますが、折れたらズルズルと落ちていってしまう。ボギーが来ても歯を食いしばれる“忍耐力”がキーワード。その我慢強さが結果として現れるでしょう」
■いままでガマンしていた分…メジャー大会で大爆発!
そんななか、大西氏が期待したいと最初に名前を挙げたのが吉田優利。メルセデス・ランキングは5位につけているものの今季未勝利。トップ10入りは14回を数え、2位フィニッシュは5回。最近では「優勝の回数がプロの価値」とも語り、今季初優勝を渇望している。
「ずっと2位や優勝争いが続いていますが、それこそまさに忍耐強さがないとできないことです。ここまでガマンの積み重ねができているので、メジャー大会で自分の可能性を掴み切る、獲り切るという可能性は大いにあります。いい流れもあるのではないのでしょうか」
リカバリー率は4位、サンドセーブ率も4位、そしてバウンスバック率は2位につけており、忍耐力の強さはスタッツによっても証明済。ガマンを続けて耐えてきた分、この4日間も耐えるゴルフを続けることができれば、おのずと優勝が近づいてきそうだ。
■忍耐強さといえば…
メルセデス・ランキング、賞金ランキングともに1位を快走し、先週大会ではツアー最少スコアの「60」を叩き出した山下美夢有に忍耐強さがるのは言わずもがな。「身長が小さくてもよく飛びますし曲がらない。そして忍耐強さがこれまでの成績に比例しています」と、勢いそのまま上昇気流に乗って今季メジャー2勝目を掴めるか。
そして最近は不調を口にする西村優菜にも注目してほしいと大西氏は語る。「このコースはショットだけでなく、アプローチやパターでも勝負どころを決めていかないといけません。そういった勝負強さと忍耐強さを兼ね備えている。調子が悪いなかでもうまく修正して調整できていると思います」。
■大舞台こそ17歳が躍動? 調子も仕上がってみえます
そしてローアマ争いについてもひとこと。日本勢として37年ぶりに全米女子アマ制覇を成し遂げた馬場咲希(代々木高2年)に期待を寄せた。
「久しぶりのプロの試合、ということで前回(住友生命東海クラシック)では予選落ちとなりましたが、修正能力がある選手だと思います。全米女子アマを制覇できるというのは実力があるから。日本のメジャーという大きな舞台でこそ、力を発揮するのではないでしょうか。練習場での様子を見ていると“飛んで曲がらない”球を打っていて仕上がっているように感じました」
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。
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