<東建ホームメイトカップ 事前情報◇11日◇東建多度カントリークラブ・名古屋>
今季から、ジャパンゴルフツアー選手会の会長に就任した石川遼。10日夕方には、選手会のミーティングで自ら起案した3つの施策が承認されたことを明かしていた。
それは、【1】予選落ちした選手による土曜プロアマ、【2】大会ごとのピンフラッグの販売、【3】ギャラリーが多く集まる場所で活躍した選手の公開インタビュー、の3点。
それぞれの施策についてメディアに向けて詳細に話したが、慣れない選手会長の重責をひしひしと感じている様子もうかがえた。
選手会長として、社会貢献とファンサービスのどちらを重視するのか?との質問に、石川からは別の答えが帰ってきた。
「一番力を入れたいのは、選手の意識の向上。これがないと、ファンサービスは成り立たない。我々がなぜいまこの仕事をできているのか。いま男子ツアーが置かれた状況を良くするには、まず選手一人ひとりの意識を高めてもらうしかない。選手一人ひとりにそれぞれのファンが増えれば、必ず現状を変えられるはず」
選手会長とはいえ、若者が発した厳しい言葉を面白く受け取らない人もいるだろう。そして、「選手として自身の活躍も求められるのでは?」と問われると「レベルの高い選手がいれば、ツアーも注目される。選手のレベル向上が大前提だと思いますし、自分自身、いち選手としてそれを目指していくつもりです」と語る。
思わず本音が漏れたのか「選手としてコースでプレーする方がリラックスします」とも。弟の航も「家ではツアーのことをいろいろ考えている様子です」と語っていた。マスターズの録画も「観れるのは多分中日クラウンズのあとじゃないと無理かな…」といい、否が応でも周囲は心配になる。そんな26歳の青年に対して、あるベテラン選手はこうつぶやいていた。
「(アメリカで挑戦を続けて帰ってきたばかりの)石川遼に選手会長をやれなんて、本当はかわいそうだよ。再びアメリカを目指すなり、思い切りゴルフをさせてやらないと」
こんな声もあるが、11日に石川は周囲の心配を一蹴。「いろんな方から練習時間を削られていないかと心配されますが、メリハリがあっていいと前向きに捉えています」と、試合のなかった2か月間を振り返った。選手会長職がなければダラダラと実のない練習をする可能性もあったと語る。
ベテラン選手のつぶやきは「若者に重責を押し付けるのはかわいそう」とも聞こえるが、決して石川の気持ちを代弁しているわけではない。若き選手会長が考えた3つの施策とツアーへの想いが、国内男子ツアーに新風を吹き込む。(文・長岡幹朗)
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