<全米オープン 事前情報◇12日◇シネコック・ヒルズGC(7,440ヤード・パー70)>
全米一だけでなく、世界一のゴルファーを決めるといっても過言ではないのが、現地時間の14日(木)に開幕する「全米オープン」だ。世界中からトップ選手が集結し、難コースに立ち向かうのがこれまでの全米オープンだが、今年は練習日からとんでもない難敵が待ち構えている。
会場のシネコック・ヒルズGCはニューヨーク州の最東端からほど近い場所に位置する。州中心部のマンハッタン島から約80マイル、東に伸びるロングアイランド島にたたずむ同コースだが、この立地条件が選手、関係者を苦しめている。極端に横長の形状をしているため、幹線道路はコースに近づくにつれてほぼ1本に絞られる。そこに大ギャラリーを含めた大勢の人間がいっせいに押しかけるため、まだ日も昇らない時間から、大渋滞が起こってしまっているのだ。
我々報道陣の移動を例に取ると、メディア向けの公式ホテルはコースから西に約40マイル(64キロ)。ホテルからコースまでのシャトルでフリーウェイに乗れば、通常45分もあればたどり着くのが、11日(月)、12日(火)ともにたっぷり2時間のドライブ。11日は日本人選手のスタート時間に合わせて朝6時半のシャトルに乗ったが、到着したのは8時半で、すでにスタートした後。教訓を生かした火曜日は5時のシャトルに乗ったものの、コースまで10マイルを切ってから、1時間以上かかるという異常事態に陥った。
これについては主催の全米ゴルフ協会のチーフディレクターがメディアに謝罪するなど、大騒動に発展している。もともと渋滞で有名な地域らしいが、この尋常でない状況に選手も悩まされている。11日の練習ラウンドのためホテルからコースに向かった星野陸也は通常30分のところ、やはり2時間。そんなトラブルにタイガー・ウッズ(米国)も言及した。
「1995年と2004年に出場したときは、近くのコースメンバーの家に滞在したから気にならなかったけど、周りは大変みたいだね。ホテルから2時間半とか3時間かかっている人もいるみたいだから、スタート時間に間に合わない人が出てもおかしくない」。ウッズ自身はクルーザーを近くの港に停泊させて滞在しているため影響は受けていないのだが、メディア食堂のボランティアの女性はこの事態に朝3時出勤を命ぜられたとか…。
心配されるのは、ウッズがいうとおり本戦に入ってからの選手の“遅刻”。予選ラウンドの第1組スタートは早朝6時45分で、コース入りし食事、ウォームアップ、練習とこなすのに2時間はかかるのが一般的。さらに渋滞も重なるとあっては、何時に出発すればいいのか。ちなみにギャラリーにはニューヨーク中心部から鉄道の利用を推奨しているが、一体この先どうなることやら…。(文・高桑均)
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