2017年のシーズン途中で現役を引退した宮里藍さんが、6月21日に“結婚”を発表した。とても驚いたが、思えば藍さんも33歳。何の不思議もなく、とてもとてもうれしいニュースだった。
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お相手は藍さんの米女子ツアー生活12年間を共に過ごしたマネージャーさん。藍さんの発表にもあったよう、「良いときも悪いときも」支えていたから、最後の試合となった昨年の「エビアン選手権」で、プレーを終えた藍さんを見守る彼の目に涙が溢れていたのが忘れられない。
「藍さん結婚」のニュースは、その日のうちにアーカンソー州で開催されていた米LPGAツアー「ウォールマートNWアーカンソー選手権」の会場にも流れた。その反応はというと祝福の声ばかりだったのだが、米女子ツアーの仲間はずっと二人のことをよく知っていたようで、半ば公然の秘密だった。それでも仲間たちは藍さんの気持ちを汲(く)んで、温かく静かに見守っていたのだ。
大ベテラン、58歳のジュリ・インクスター(米国)は、一報を受けると大声で叫んだ。
「オーッ! アイ。 もう(結婚しても)良い頃よ!(It’s about time!!) 私たちはみんな二人のことは分かっていたわよ。彼はすばらしい人。すばらしいカップルだわ」
自身も結婚して二人の娘の母でもある。それでもツアーで戦うことを続け、殿堂入りも果たしているインクスターは、藍さんへのアドバイスとして「これからもトラベル(旅)を続けることね」と笑った。インクスターはツアー転戦を続けていたので家族とは離れていることもあったが、それぞれの時間を持っていたことが「いつまでも仲良く暮らす秘訣(ひけつ)」という。
親友の一人でもあるサラ・ジェーン・スミス(オーストラリア)に、結婚が公式に発表されたと伝えると、一瞬戸惑った表情を見せた。
「え、彼女が発表したの? 本当に?? じゃあ、もう言ってもいいのね(笑)」と最初は当惑気味だったスミス。それでも続けて、「素晴らしいカップルだから、こんなにうれしいことはない。これまでプライベートなことは公にしないできた。それはとてもよく理解できる。でも、ようやくみんなに知ってもらえてほんとにうれしい」と喜んだ。
ポーラ・クリーマー(米国)も、「発表の数日前に連絡をもらった。二人はとてもお似合いのカップル。彼らの幸せを心より願うわ」とコメントした。
藍さんが米女子ツアーに参戦したのは2006年。ルーキーの年から彼は、藍さんに通訳として同行していた。当時、まだ英語を思ったように話せなかった藍さんだが、「藍の成績は英語力に比例する」という父の教えどおり、英会話の習得に一生懸命だった。
その藍さんを助けたのがバイリンガルのマネージャーさん。試合中でも雷雨で中断したりすると、わずかな時間とはいえ勉強の手助けをした。そんな努力のかいもあり、3年もたたないうちにテレビインタビューも自力で話すなど、その成長ぶりはすばらしかった。
それでも現役の最後まで、どんなインタビューでも彼はそばで見守っていた。藍さんはすらすらと英語を話すものの、突然、伝えたい言葉が見つからなくなると、振り返って助けを求めた。すると、代理で藍さんの言いたいことをすらすらと英語で伝える。そのタイミングが絶妙だったのが忘れられない。
ツアー仲間に支えられてき二人の人生は、もっともっと輝くに違いない。(文・武川玲子=米国在住ゴルフジャーナリスト)
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