<長嶋茂雄 INVITATIONALセガサミーカップゴルフトーナメント 最終日◇8日◇ザ・ノースカントリーゴルフクラブ(7,178ヤード・パー72)>
5年ぶりの美酒の味は思い出すのに時間がかかってしまった。「久々だったから忘れかけていたよ。ようやく“こういう気持ちだった”と思い出したところさ」。2013年の「関西オープン」以来となる優勝を果たしたブラッド・ケネディ(オーストラリア)は、そう言って微笑んだ。
賞金ランクは30位付近をずっとキープしながらも、勝てない5年の間に“引退”すら頭によぎったと言う。44歳で「もう優勝するのは難しいかもしれない」と思っていた矢先、50歳でメジャー制覇した谷口徹を見て「年齢は関係ない」と改めて奮起、体幹や下半身のトレーニングに邁進してきた。
もともと飛距離の出るタイプではなく、ほぼ全てがライン出しショットで、安定したフェードを操るケネディ。今大会も3日間の平均飛距離は250ヤードと予選通過選手では下から3番目に飛ばない結果に。雨と洋芝でランも出づらい中、代わりに力を発揮したのはパーオン率2位タイの正確なアイアンショットだ。
使用ギアはほとんどが一世代以上前のものを使用し、よく知る田島創志いわく「彼はかなりのギア通で、すごくこだわりが強いですよ」とのこと。中でも異色なのがアベレージゴルファー向けのやさしい『VG3アイアン』(2016年)を愛用することだ。ダンロップで例えるなら、男子プロなのに『スリクソン』ではなく、『ゼクシオ』を使うといったところ。
この日のベストプレーには、難易度1位を誇った16番ホールのティショットで6番アイアンでピンハイにつけたシーンを挙げた。「このホールでしっかりパーを獲れたことが次のホールからの連続バーディにつながった」と自画自賛。
ただし、久々の優勝で欲が出たのか、ギア通らしいこんな本音も。「(一足先に全米オープンでPGAツアーに投入された新作の)『TS2』ドライバーを早く試したいね。来月に手元に届くんだけど待ち遠しいよ」。やはり、飛ばなくて安定したプレーが信条のプロでも、新兵器に期待してしまうのはアマチュアと同じなようだ。
【ブラッド・ケネディの優勝セッティング(WITB=Whats in the Bag)】
1W:タイトリスト917 D2(8.5°/ATTAS G7/6S/46インチ)
3W:テーラーメイド RBZステージ2(15°)
UT:タイトリストH2 ユーティリティ(19°)
UT:タイトリスト915Hd H1 ユーティリティ(20.5度)
5I〜PW:タイトリストVG3アイアン(2016年モデル)
A,SW:タイトリスト ボーケイSM5(50,55,60°)
PT:スコッティ・キャメロン コンセプト2 NB
BALL:タイトリストPRO V1x(17年)
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