<ダンロップ・スリクソン福島オープン 初日◇21日◇グランディ那須白河ゴルフクラブ(6,961ヤード・パー72)>
初日を迎えた「ダンロップ・スリクソン福島オープン」では、“下剋上”を狙う選手2人が好発進した。それが下部のAbemaTVツアーを主戦場とする川上優大と佐藤和紀だ。
25歳の川上は、7バーディ・1ボギーの「66」でラウンド。「ツアーでは自己ベスト」ですという好発進に、うれしさよりも先に驚きがこみ上げてきた。後半の3番からは「グリーンを狙うショットがしっかりとピンに寄った」と4連続バーディ。5位タイで終えた初日のラウンドには、思わず「いつもと(プレー内容が)違い過ぎて、逆に不安になった」と信じられないといった表情を浮かべた。
川上は2016年に下部ツアー「ひまわりドラゴンCUP」で優勝しているが、今季は予選通過もなし。さらにレギュラーツアーも今季初参戦で、主催者推薦で何とか出場までこぎつけた。普段は実家のインドア練習場でレッスンを行いながら、遠征費を捻出。「実家暮らしで甘えている部分はあるけど、その環境を整てくれる親には感謝してます」と話した。その恩義に報うためにも、ここで好結果を残したい。
一方の佐藤和紀は、7バーディ・2ボギーの「67」、5アンダー・9位で初日をフィニッシュした。実は今回の大会が、レギュラーツアーデビュー戦で、「QTによる出場資格が69位まで下りてきた」ことで出番が回ってきた。そのため逆に「気負わずにプレーできた」のが奏功した。
そんな開き直り効果か、10番からスタートした佐藤は、前半だけで3つスコアを伸ばす。後半の2番、3番は連続ボギーとしたが、その後の5番から、こちらも4連続バーディで上位に浮上した。東北福祉大中退で、大学の一学年先輩でもある藤本佳則を師と仰ぐ佐藤。現在肩を痛め試合を休んでいる先輩に、「いい報告ができる」と喜んだ。
川上は「AbemaTVツアーもかなり大事な場所ではありますが、上の舞台でプレッシャーを感じながらやりたかった」と、今回の挑戦について語る。佐藤も「今年は調子が悪くて、何かきっかけをつかめればと思って出場した」と、この試合が持つ意味について話した。そして、それが叶う状況で2日目を迎えることができた。
2年前の大会では、当時下部ツアーを主戦場にしていた時松隆光が初優勝を果たし、その後のブレークに繋げた。また昨年大会には、やはり下部ツアーを中心にプレーしていた秋吉翔太が、予選会を通過して出場し、6位タイに入っている。自身も「この大会がきっかけとなり、シード権獲得もできた」と思い入れの強さを語っている。
多くの選手にチャンスが与えられる、この「ダンロップ・スリクソン福島オープン」は、“出世大会”ともいえる役割を担っているのかもしれない。小林と佐藤が、このまま4日間を完走した先に、どんな未来が待っているのだろうか。(文・間宮輝憲)
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