<〜全英への道〜ミズノオープン 事前情報◇28日◇ザ・ロイヤル ゴルフクラブ(茨城県)◇8016ヤード・パー72>
「関西オープン」を終えた国内男子ツアー。ここまでの結果も踏まえ、次戦に活躍が期待できる選手を佐藤信人がピックアップ。ツアー9勝を誇り、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の広報担当理事を務める佐藤が挙げた「〜全英への道〜ミズノオープン」の優勝候補は?
「見てくださいよコレ」705ヤードに思わず苦笑い【写真】
■国内ツアー最長コースで強みを発揮するのはやはり…
今週は、昨年に引き続き茨城県にあるザ・ロイヤル ゴルフクラブが舞台。国内ツアー最長となる8007ヤードで行われた昨年大会と比べ、今年はさらに9ヤード伸びた8016ヤード(パー72)に設定される。さらに、こちらは国内最長ホールとして話題を集めた16番(パー5)も705ヤードと変わらず。“モンスターコース”は、今年も多くの選手が手を焼きそうだ。
そのコースでの戦いにおいて、「圧倒的に飛ばす人が有利」(佐藤)という考えはやはり揺るぎないもの。さらに昨年に比べて今年はラフも浅いという話が佐藤の耳に届いており、「要求されるティショットの正確性は、昨年と比較すると多少緩和されるのでは」という見方をしている。
昨年の優勝者・秋吉翔太は、ドライビングディスタンスの順位とフェアウェイキープ率の順位を足したスタッツのトータルドライビングが、2015年2位、16年1位、17年3位、18年4位という典型的な“飛んで曲がらない選手”。今年もティショットがカギを握りそうだ。
■スキのない若手海外選手の活躍なるか?
それをふまえ佐藤が注目選手として名前を挙げたのがアンソニー・クウェイル(オーストラリア)だ。昨年から日本を主戦場とするクウェイルは、1年目にして約1848万円を稼ぎ、賞金ランク57位でシードを獲得。今年も「中日クラウンズ」5位タイ、先週の「関西オープン」7位タイと、好調をキープしている。
今季のドライビングディスタンスは「310.57ヤード」で現在1位。さらに、平均パットは「1.7025回」で2位、サンドセーブ率は「68.97%」で1位、リカバリー率(参考記録)も「64.52%」で13位とスタッツ全体を見ても穴がない。「海外の選手は、フェアウェイやグリーンが硬いコンディションに強い選手が多い。グリーンは今年13フィートくらいは出そうですが、アマチュア時代から活躍(オーストラリアのアマチュアランキング2位の経験などをもつ)しているバックボーンと、状態のよさもあって注目ですね」と活躍を予感する。
さらに佐藤は、こんな点からも、その期待度の高さを説明する。クウェイルのキャディは、これまでに田中秀道や石川遼らのバッグを担いだサイモン・クラーク氏。佐藤は「現在彼は将来有望な若手をサポートする役目を担っている。その人が担ぐというのをみても、その期待度はうかがえますね」と話す。昨年もニュージーランド人のマイケル・ヘンドリーが、この大会で全英オープンの出場権を手にしており、今年も南半球出身の選手にチャンスありと見ている。
■700ヤード超の“モンスター”16番パー5の展望は?
この他、先週の「関西オープン」でプレーオフのすえ2位になったツアー屈指の飛ばし屋・星野陸也や、「飛距離も出て、パットも上手い」と佐藤が評する上井邦裕にも期待。星野については日頃の姿から「海外へのモチベーションが高い」ことが見てとれるだけに、出場権のない上位4人に与えられる全英チケットは大きな力になりそうだ。さらに「最近の安定感は、今平周吾選手に匹敵するものがあります」と昨季賞金王を引き合いに出すほど状態もいい。
最後に、やはり気になるポイントということもあり、国内最長の16番ホールについても聞いてみた。「バーディを狙うというよりは、いかにパーで切り抜けるかという考え方になる。ティショットをフェアウェイに置くことはもちろん重要」としたうえで、ピン位置に応じたマネジメントの重要性を説いた。
「右奥にピンが切られていた去年の2日目は、アゲインストの風が吹いたこともあって、誰もバーディを獲ることができなかった。プロの試合のパー5でバーディ0というのは初めて聞きました。ただ、ピンが手前に切られていればチャンスもめぐってくると思うので、しっかりとパーを拾いながら、少ないチャンスをものにして欲しいですね」
こう言って、“モンスター”と戦う選手たちの健闘に期待を込めた。
■佐藤信人(さとう・のぶひと)
1970年03月12日生まれ、千葉県出身。高校卒業後に米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ進学。1993年に日本のプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝を挙げた。ツアー通算9勝を誇り、現在はJGTOの広報担当理事も務める。
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