<LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 2日目◇29日◇宮崎CC(宮崎県)◇6535ヤード・パー72)>
ピンと張り詰めた空気が漂った大会2日目。賞金女王を争う3人が見せるプレーとともに、それぞれの表情も変化を見せてきた。
練習場でも言葉を交わさない鈴木愛と渋野日向子
調子が上がらないとしながらも2日連続の「70」をマークし、トータル4アンダーの3位タイにつける渋野日向子は、ラウンド中の笑顔も少なめ。後半はスイッチが入り好プレーを見せたものの、緊張感が漂うプレーが続いた。
その鈴木から5打遅れて3日目を迎えるのが申ジエ(韓国)と鈴木愛。ジエは満身創痍の戦い。そして鈴木は、「何一つうまくいかない」と嘆き節しか出ない。賞金ランキング1位に立つ鈴木にも余裕はなく、渋野の強烈な追い上げが2017年女王の気持ちを揺さぶる。
最終決戦も半分が終わった2日目の夕暮れ。ドライビングレンジには渋野と鈴木の2人の姿があった。黙々と球を打つ2人、残された2日間に待ち受ける戦いに備える姿はその後、練習グリーンへと移動。言葉を交わすことなく、パッティング練習を繰り返した。
鈴木といえば、真っ暗のなか最後の1人になるまで練習を続ける練習の虫として知られたが、昨年からは体のことも考え効率のいい練習に切り替えてきた。それがここにきて、夕闇の鈴木が戻ってきている。2度目の女王戴冠へ絶対有利な状況だが、少しでも上位との差を詰めて、貫禄の戴冠を決めたい気持ちがこもっている。
渋野の夕方の練習もいまや有名となっているが、この日はアプローチ練習、そしてパッティングドリルを入念に行った。隣には鈴木。黙々と球を転がす隣で、いつもと変わらぬ表情で渋野も自身のドリルを繰り返した。
ここまできたら根性、そして意地のぶつかり合い。口にはしないが女王への強い思いが見え隠れする。様々な気持ちが交錯するなか、日が暮れるまで続いたパッティング練習は渋野が先に切り上げ、最後に残ったのは鈴木だった。クライマックスに向けて備える女たちの無言の姿が夕日に照らされた2日目。3日目はどんなドラマが生まれるのか。(文・高桑均)
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