昨年、新型コロナウイルスの影響で延期となった日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプロテストは、5月11日の滋賀カントリー倶楽部から第2次予選(全3会場)が始まる。今年は2020年度、21年度ぶんと2度開催の予定になっているツアーへの“登竜門”。この突破を目指す受験者たちは、どのような心境で今を過ごしているのか? 今回は3度目の受験となる脇元桜。
3月10〜12日に三重県のココパリゾートクラブ白山ヴィレッジGCキングCで行われた第1次予選。ここを5位タイで通過した脇元は、この3日間で得た“課題”と“収穫”を地元の宮崎県へと持ち帰り、練習に励んでいる。
「(第1次予選は)100人くらい出場して46位タイまで通るので、余裕で通過してやるという気持ちで向かいました。でも初日に7オーバーを打ってしまい、この時は『やばいかも』という気持ちもよぎった…。やろうと決めていたことを信じ切れなかったので、残り2日間は、いい意味で適当にやろうと思ったら流れに乗ることができました」
肝を冷やした初日は、バーディも3つ奪ったが、OBも出るなど1トリプルボギー・7ボギーと苦しい時間が続いた。ただ、この日は全体をみてもアンダーパーがわずかに1人で、脇元も“突破圏内”の30位タイと順位的に大きな痛手を負うことはなかった。すると2日目は3バーディに加えボギーフリーの好ラウンドで急上昇。最終日は3つ落としたものの、上位で次なるステージへとコマを進めた。
「やっぱりプロテストならではの独特な雰囲気はあります。ただ、みんなプロを目指している選手の集まりで、立ち位置も同じ。“自分は自分”と思って、試合と同じようにプレーしていきたいですね。意気込みすぎた時は結果が良くないというデータがとれてる。でもビビり過ぎてもダメ。ここからも、いつも通りのラウンドを心がけたいですね」
脇元の姉は、現在シード選手としてレギュラーツアーへの出場を続ける脇元華。その姉が3度目の受験でプロテスト合格を果たした2018年に、桜も初めて正会員になるための戦いに挑んだ。この年、華と一緒の会場で受けた2次予選で敗退すると、翌年も再び2次で跳ね返されるという結果に。そして昨年は新型コロナウイルスの影響でテスト自体が延期となり、足踏みを余儀なくされた。
だが、この延期は“テスト合格”という観点では、決してネガティブなことばかりではなかった。昨年6〜7月には、「中学時代から」の持病だという腰痛を発症し1カ月ほどクラブが振れない時期を過ごしていた。「正直ホッとしました。ゴルフができない状態だったので、よかったな」。現在も治療を続け、さらにトレーナーの指導のもと自分の体の特性を勉強するなど細心の注意を払いながらではあるが、しっかりプレーできる状態まで回復している。
プロを目指すうえで、姉の存在はやはり大きい。「姉は感覚派で、私は理論派」と、そのスタイルは真逆と言ってもいいが、例えば「課題」と話す小技面では「グリーン周りはライも芝も色々だし、感覚も大事」ということを、姉の姿を通じ気づくことができた。昨年1〜2月に姉妹一緒に臨んだタイ合宿でも、「姉がアドレスした足跡に自分も立たせてもらったりして、技術向上の感覚がありました」。また同じコーチに師事するなど、“二人三脚”レベルアップを図ってきた。
さらに時折キャディとして姉とともに戦うこともあったが、これも「ツアーで戦っている人たちの雰囲気や、他の選手のマネジメントを見て、自分はここが足りないなど気づくことができる。ものすごく勉強になりますね」と話す。こういったトップカテゴリーの選手たちから感じることの一つひとつを成長の糧にしている。
「1次予選で考え方や、マネジメント面でも足りてないものが見えました。それを2次までにしっかり練習してレベルを上げたい。逆に1次では成長した部分も感じることができました。そこに関しては、しっかりと伸ばしていきたいです」
脇元姉妹の目標は“レギュラーツアーで一緒に優勝争いをすること”。姉の後に続こうとする21歳は、合格の先に続く道もイメージしながら、第2次予選、そして6月22日から茨城県の静ヒルズカントリークラブで行われる最終テスト突破に向け、追い込みをかけていく。夏を前に、満開の花を咲かせることを信じて。
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